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17 イタリア     Republic of Italy

<2002年>

イタリア2002 イタリア経済のこれまで

<2003年の経済>
 2003年の経済成長率は、0.5%程度となる見込みであり(政府見通し0.5%、民間機関5社の平均値0.5 %(2003年10月時点))、民間機関の見通しは、半年前(2003年4月時点1.0%)に比べ下方修正されている。1〜3月期の成長率が前期比年率マイナス0.6%、4〜6月期が同マイナス0.3%と、2期連続マイナス成長となった。これは、イラク戦争の影響で重要産業である観光業が低迷したことと、内需の不振に加え、ユーロ高の影響で輸出が減少したことによるものである。年後半は、世界経済の回復に伴って輸出が伸び、その結果企業の設備投資が増加すると予想されること、また低所得層向けの減税により個人消費の回復が期待されることから、経済成長は回復に向かうと見込まれる。

<2004年の経済見通し>
 2004年の経済成長率は、1%台後半となる見込みである(政府見通し1.9%、民間機関5社の平均値1.7%(2003年10月時点))。2003年後半からの景気の持ち直しに引き続いて2004年は穏やかに回復するとみられる。
 成長を支える要因としては、世界経済の回復に支えられ輸出が回復し、消費者・企業マインドの改善によって消費・投資の増加が期待されること、失業率の低下が続き消費にプラスの効果を与えると見込まれることなどが挙げられる。
 下方リスクとしては、消費者物価上昇率はユーロ圏平均より1%弱程高く推移しているが、その高いインフレ率がイタリアの国際競争力を低下させ、輸出に悪影響を与える可能性がある。

イタリアの主要経済指標

<財政政策の動向>
 2003年の財政収支は、2002年に引き続き財政赤字がGDP比で2%台半ばとなる見込みであり、「安定と成長の協定」に定められた3%以内に収まっている。政府は9月に2004年予算案を策定し、景気浮揚策としてインフラ整備など50億ユーロを計上したほか、総額160億ユーロ(GDP比1.3%)の財政赤字解消策を盛り込んだ。財政赤字解消策のうち、約3分の1は事業見直し、制度改革等を伴う構造的な政策、残りの3分の2は一時的措置となっている。一時的措置としては、過去の違法建築を一定の違約金を支払うことでそれらの罪を免じる違法建築違約金等を計画している。このように、財政赤字削減に努め、「安定と成長の協定」の基準を尊重する姿勢を示している。また、10月に年金改革案が閣議決定された。改革案では、保険料の払い込み期間が40年を超えるか(現行は35年)、もしくは男性で65歳、女性で60歳に達するまでは年金を受け取れないこととなる。イタリア財務省は、2008年からの導入を目指すこの新しい年金制度によって、毎年GDP比1%の年金給付費の節約が見込まれるとしている。


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