8 インドネシア Republic of Indonesia
<2002年>
<2003年の経済>
2003年の経済成長率は、4%程度となる見込みである(政府見通し4.0%、民間機関6社の平均3.8%(2003年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年4月時点3.4%)に比べて上方修正されている。2003年前半の経済をみると、消費を中心に緩やかな成長を続けている。実質GDPは、1〜3月前年同期比3.5%増、4〜6月期同3.8%増となった。4〜6月期にはイラク戦争やSARS流行の影響で鈍化が予想されたが、比較的堅調な伸びとなった。これは金利低下により耐久財販売が好調なことから個人消費が増加したことによる。一方、投資は低金利や通貨安定により拡大が期待されたが、海外からの投資の伸び悩みや国内企業の過剰債務問題もあって減速傾向にある。輸出は年初には原油価格の高騰から高い伸びとなったが、年央には原油価格の落ち着きもあって伸び率は低下している。年後半も投資の急速な回復の見込みは薄いので、成長率は前半と同程度で推移していくものとみられる。
<2004年の経済見通し>
2004年の経済成長率は、4〜5%程度となる見込みである(政府見通し5.0%、民間機関6社の平均4.4%(2003年10月時点))。
成長を支える要因としては、為替レートの安定によるインフレ率と金利の低下が個人消費の増加をもたらすことが期待される。また、アメリカ等主要先進国の景気回復によって輸出の増加が期待される。
下方リスクとしては、テロなどの再発による政情不安が外国投資の流入を妨げること、通貨危機に際して供与されたIMFからの借入れが終了するなかで対外債務返済が順調に処理できるかどうかが懸念される。
<財政金融政策の動向>
財政政策をみると、2004年度予算案(8月発表)は2003年度に比べ緊縮型となっている。内訳をみると、歳入は2003年度当初予算比2.3%増の343.9兆ルピア、歳出は同0.5%減の368.8兆ルピアとなっている。この結果、財政赤字は24.9兆ルピア(GDP比1.2%)となり、2003年度の34.4兆ルピア(同1.8%)と比べ3割程度の減少となっている。歳入面の増収策としては所得税と付加価値税の増税をめざしている。歳出面をみるとテロ対策強化などから国防・治安関連の伸びが目立っている。また歳出削減策として、利払い負担の軽減、補助金、地方向け歳出の削減が図られている。財政赤字をまかなうための資金については海外からの借入れと国内での資金調達からなるが、このうち海外借入れについては、IMFからの借入れが終了するため、外貨建て債券の発行を予定している。国内での調達は、国営企業民営化等による資産売却、国債発行等によるとしている。
金融政策をみると、インフレの低下と為替レートの安定をうけて緩和基調が続いている。中銀証券金利(SBI)(3か月物)は、2002年末の13.11%から2003年10月には8.43%へと低下している。為替レートは、最近の政治・社会情勢の安定傾向もあって2002年央以降8,000ルピア台で安定している。2003年10月中旬現在、1ドル=8,430ルピアとなった。