13 オーストラリア Commonwealth of Australia
<2002/2003年度>
<2003年の経済>
2003年の経済成長率は、3%程度となる見込みである(民間機関23社の平均2.9%(2003年10月時点))。民間機関の見通しは、半年前(2003年4月時点3.1%)に比べて下方修正されている。2003年前半は、昨年来の干ばつの影響により農作物の生産高が伸び悩んだことに加え、豪ドル高が進んだことにより輸出が減少した。そのため4〜6月期の成長率は前期比0.1%と減速した。しかし、個人消費を中心として内需は堅調に増加し、成長を支えた。また、失業率は8月に、90年3月以来の低水準となる5.8%まで低下するなど雇用情勢の改善がみられ、さらに低金利や良好な消費者マインド等から、今後も消費の堅調な伸びが見込まれる。
<2004年の経済見通し>
2004年の経済成長率は、3%程度となる見込みである(政府見通し3.25%(2003/2004年度)、民間機関23社の平均3.4%(2003年10月時点))。
成長を支える要因としては、世界景気の回復や、干ばつの影響により落ち込んでいた農業生産の回復等により輸出の拡大が見込まれる。
下方リスクとしては、これまで景気を牽引してきた住宅建設投資が2003年度で頭打ちとなり、内需の拡大がやや緩やかなものになるおそれや、豪ドル高基調が長く続くようだと、輸出への悪影響が懸念されることなどが挙げられる。
<財政金融政策の動向>
財政収支は97/98年度以降4年連続で黒字を達成していたが、2001/2002年度は9.8億豪ドル(GDP比0.1%)の赤字となった。2002/2003年度については、当初39億豪ドル(GDP比0.5%)の黒字を見込んでいたが、法人税収が増加したことなどから当初見込額を大幅に上回る75億豪ドル(GDP比1.0%)の黒字となった。2003/2004年度については、22億豪ドル(0.3%)の黒字を見込んでいる。
政府純債務残高は年々減少しており、2002/2003年度末には297億豪ドル(GDP比3.9%)と当初見込額324億豪ドル(GDP比4.3%)より減少した。2003/2004年度末は298億豪ドル(GDP比3.7%)を見込んでおり、ピーク時(95/96年度末、958億豪ドル、GDP比19.1%)に比べ大幅に減少している。政府は引き続き健全財政路線を維持し、債務削減を図ることとしている。
2003/2004年度の予算は、国防・安全保障の強化、高等教育関係費の拡充、保健医療制度の改革などに重点がおかれている。歳入については、国内経済の堅調な伸びによる増収が見込まれている。また、個人所得税減税を実施している。課税対象所得ごとに五段階に分かれている所得税率を、税率自体は不変ながら、課税対象所得額を引き上げることにより減税を行う。その他、低所得者特別税額控除の拡充等と合わせ、減税規模は、2003/2004年度分24億豪ドルを含め、今後4年間で総額107億豪ドルに上る見通しである。
金融政策については、オーストラリア準備銀行が、2002年7月以降、金利を4.75%に据え置き、内外経済の動向を様子見している。2003年4〜6月期の消費者物価上昇率は前年同期比2.7%となっており、インフレターゲット2〜3%の範囲内に収まっている。同行は2004年の消費者物価上昇率を2.3%と予想している。