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8  インドネシア    Republic of Indonesia

インドネシア経済のこれまで

<2002年の経済>
 2002年は、3.0〜3.5%程度の成長となるものと見込まれる。主に民間消費が牽引し、実質GDP成長率(前年同期比)は1〜3月期2.2%の後4〜6月期3.5%と高まった。政情安定や、最低賃金の引き上げ、金利の低下、消費者向けローンの拡大などから、民間消費は堅調な伸びを示した。一方、海外からの直接投資は減少を続けており、国内企業の債務削減の取組みが遅れていることなどから国内投資も回復が遅れている。物価は、年初に高騰したもののその後低下し、消費者物価上昇率は10月10.3%となっている。輸出は6月にプラスに転じたものの、主要輸出先であるアメリカの景気減速や、主力輸出品の労働集約製品のアジア域内での競争激化により回復の見通しは不透明である。また、10月にバリ島で起こった爆弾テロ事件により、観光や消費者マインド悪化、投資の減少など、経済への影響が懸念されることから、政府は2002年の成長率見通しを4%から3.5%に下方修正した。民間機関6社の平均は3.5%となっている(2002年10月時点)。民間機関の見通しは、半年前(2002年4月時点3.5%)と同レベルとなっている。

インドネシアの主要経済指標

<2003年の経済見通し>
 2003年は4%程度の成長になると見込まれる(政府見通し4%、民間機関6社の平均4.0%(2002年10月時点))。
 成長を支える要因としては、輸出の回復が再び軌道に乗ること、国際機関・海外援助国からの援助継続等が挙げられる。
 下方リスクとしては、アメリカの先行き不透明、中国の台頭などアジア域内での競争激化により、輸出や外国資本の流入が減少すること、失業率の悪化、2003年度予算案で予定されている増税により現在の景気牽引役である民間消費が鈍化すること、さらにバリ島の爆弾テロ事件による経済への悪影響が2003年まで続く可能性等が懸念される。

<財政金融政策の動向>
 政府は2002年8月に2003年度予算案を発表し、財政健全化を最優先目標とし、財政赤字を2002年度予算のGDP比2.5%から同1.3%まで削減する方針を示した。しかし、10月にバリ島で起こった爆弾テロ事件に対応して予算案を見直し、景気刺激のための追加支出を盛り込んだ新予算案を議会で審議中である(11月1日現在)。当初予算案によれば、歳入は所得税や付加価値税などの増税により前年比8.6%増を見込む一方で、中央政府の支出は前年よりも減少し、また歳出の22%が債務利払いに充てられる予定である。また、前年に引き続き電力事業等への補助金の大幅削減を盛り込んだことにより公共料金の値上げが予定されるなど、引き続き緊縮財政となっている。しかし改定後の予算案が5兆9千億ルピア(推定GDP比0.3%程度)の追加支出を含むとされていることから、財政赤字の増加や、財源に充てるための対外政府債務のさらなる拡大が見込まれる。
 金融政策については、2002年初から緩和基調が続いている。中銀証券(SBI)金利(3ヶ月物)は2002年1月の17.43%から2002年10月には13.12%まで低下している。インフレが収束していることが緩和につながっている。通貨ルピアは年初から大幅に増価したがその後緩やかに減価し、バリ島のテロ事件の影響も受けて11月1日には1ドル=9,225ルピアとなった。


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