第II部 世界経済の展望――緩やかな景気回復 |
世界経済は2002年1〜3月期以降、景気回復局面にあるとみられる。しかしながら、アメリカでは企業会計不信を契機に株価が大幅に下落したことなどから、景気の回復は緩やかなものとなっている。これに伴い、世界経済の回復も年後半から、次第に緩やかになっていると見込まれる。
こうしたなか、欧米主要国の財政金融政策も多くの課題に直面している。景気の回復が緩やかなものにとどまっていること等から財政収支は悪化しており、また2002年前半には引締めが視野にあった金融政策も、次第に緩和へと比重を移しつつある。
本章では、今回の景気回復局面の特徴を明らかにするとともに、今後の回復にとってのリスクを検討する。また、欧米主要国の財政金融政策の動向と、これを巡る議論についても検討する。