第1章 (1)地域別の経済動向の概観

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本節では、地域別の景況感や民間需要の動向に基づき、2025年に入ってからの地域経済の動向を概観する。

(1)景気ウォッチャー調査でみる地域経済の景況感

(景況感は2025年半ばにかけて弱い動きがみられたが、その後は改善傾向)

まず、景気ウォッチャー調査の現状判断DI1に基づいて2025年以降の景況感を概観する。各地域共におおむね2025年初から半ばにかけて現状判断DIは低下し、その後、上昇していく動きがみられる(図表1-1)。景気ウォッチャーの景気判断理由(以下、「コメント」)を確認すると、2025年春頃までは物価上昇に伴う消費の弱さを指摘するコメントが多くみられたことに加えて、米国の通商政策の変更に伴う不透明感により設備投資や発注を様子見する動きがあるといったコメントがみられ、こうした声を背景として春頃にかけて全国的にDIが低下したとみられる。また、2025年4月前後は建築物省エネ法・建築基準法の改正2による影響もあって住宅関連DIが低下したことも、全国的に現状判断DIの低下に寄与したとみられる。さらに、2025年夏頃にかけては日本で大災害が起こるとの風説の影響を受けて、インバウンドが減少したといったコメントがみられ、これも現状判断DIの押下げ要因となったと考えられる。

2025年夏以降は、日米間の関税交渉の合意を踏まえて関税に対する不透明感が和らいだといったコメントが増えるとともに、引き続き物価上昇に伴い消費の弱さを指摘するコメントが多くみられたものの、客単価が良く売上が増加したというコメントもみられ、こうしたコメントを背景に全国的に現状判断DIが改善傾向で推移したと考えられる。

2025年末頃からは全国的に現状判断DIの改善の勢いが鈍化する動きがみられている。この時期の景気ウォッチャーのコメントを確認すると、物価上昇が年末商戦に影響したといったコメントがみられるなど、引き続き物価上昇が家計や企業の負担感として意識されている。また、2026年1月は、全国的に寒波や大雪に見舞われる中で、小売関連やサービス関連を中心に天候要因が現状判断DIを下押ししたとみられる。一方で、2026年2月には、こうした寒波や大雪の影響の反動で多くの地域で現状判断DIが上昇している。

(2)民間需要の動向

(2025年7-9月期は多くの地域で民間需要の伸びがマイナス)

次に、内閣府が試算・公表している「地域別支出総合指数(RDEI:Regional Domestic Expenditure Index)」を用いて、地域別の域内支出の動向を確認する。

RDEIは、地域別・都道府県別に「地域別消費総合指数」、「地域別民間住宅総合指数」、「地域別民間企業設備投資総合指数」及び「地域別公共投資総合指数」の4つの需要項目別指数を推計したものであるが、ここでは、RDEIを構成する指数のうち、民間需要を構成する「地域別消費総合指数」、「地域別民間住宅総合指数」及び「地域別民間企業設備投資総合指数」を合成3し、各地域の民間需要の動向を確認する。2025年夏頃までの各地域の民間需要の動向をみると、2025年の1-3月期は8地域、4-6月期も7地域でプラス成長の伸びであったが、7-9月期は8地域でマイナス成長であった(図表1-2)。その主な要因は 2025年4月に施行された建築物省エネ法・建築基準法の改正に伴う駆け込み需要の反動とみられる。

ここまで、2025年に入ってからの地域経済の動向について概観したが、各地域の景況感・民間需要の動きは一様ではなく差異がみられる。そこで次節において、各種統計の動きから各地域の景況感・民間需要の変動の背景や要因を検討する。


1 景気ウォッチャー調査におけるDIは、景気の現状または先行きに対する5段階の判断(「良くなっている(良くなる)」「やや良くなっている(やや良くなる)」「変わらない」「やや悪くなっている(やや悪くなる)」「悪くなっている(悪くなる)」)について、それぞれに1、0.75、0.5、0.25、0の点数を与え、回答構成比(%)を乗じて算出した指数である。
2 改正建築物省エネ法:2025年4月以降に着工する原則すべての住宅・建築物について省エネ基準適合が義務づけ(これまで、中規模以上の住宅に適用されていた届出義務、小規模住宅・非住宅に適用されていた建築主に対する説明義務制度は、2025年4月以降は廃止)。
改正建築基準法:省エネ基準への適合や、省エネ化に伴い重量化している建築物に対する構造安全性の基準への適合を、審査プロセスを通じて確実に担保するため、木造建築物の審査・検査の対象を拡大(対象外とするものは、都市計画区域等の区域外の平屋かつ延べ面積200m2以下の建築物とする(改正前は2階以下かつ延べ面積500m2以下の建築物))。
3 内閣府「県民経済計算」により算出した地域別民間需要の比率に基づき合成した。なお、民間需要の構成は「家計最終消費支出(除く持家の帰属家賃)」、「民間住宅」、「民間企業設備」であり、「民間在庫変動」は含まない。
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