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前年(2023年)に引き続き、2024年春闘における賃上げ率は、定昇込みで5%超、ベースアップで3%台半ばと、約30年ぶりの高水準となるなど、マクロの賃金動向という面で前向きな動きが続いている。他方で、地域レベルに目を向けると、産業立地や春闘の影響が及ぶ就業者の割合に地域差がある等のため、平均賃金上昇率は地域間でバラつきがある。

物価面に目を向けると、コロナ禍後の世界的な需要回復や、ロシアのウクライナ侵略による資源価格高騰を契機に、国内でも食料品・日用品・電気料金・ガソリンなどの値上げが相次いだが、電気料金など一部品目では価格上昇に地域差も生じており、家計の消費行動の変化も地域ごとに異なっている。

本報告書は、こうした賃金・物価の動きを地域単位できめ細かくみることによって、全国各地で物価上昇を上回る賃上げに向かっているか検証するとともに、各地域でどのようなリスクや課題が存在しているのかを整理し、その対処方策を検討する。

第1章 2023年の賃金上昇の地域差の総括

本章では、2023年の賃上げの動向を都道府県別/産業別に振り返ることで、どのような地域/産業が賃金上昇をけん引していたか確認し、その背景にある経済的要因について考察していきたい。

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