第1章 ポストコロナ時代における地方への新たな人の流れ

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新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響によって、地域の人々の働き方や暮らし方に対する意識は大きく変容した。感染の拡大防止の観点から、テレワークの導入がかつてなく進展したことにより、人々が職場に近い都市圏に暮らす必要性が低下し、若者を中心に地方移住への関心が高まっている。また企業側からもこうした変化に呼応して、本社の移転やサテライトオフィスの設置、テレワークと休暇との融合を図るワーケーションの導入などの新しい試みが検討され始めている。感染拡大以前より我が国では働き方改革や東京一極集中の是正といった取組が進められてきた。感染症がもたらした人々の意識の変化は、こうした取組を加速させる契機となり始めている。

本章ではこうした変革が生じつつあるポストコロナ時代の地域の経済について検討する。まずこれまでの東京一極集中の背景を整理するとともに、2020年以降、感染症により東京圏への人の流れに生じた変化を概観する。続いて、若者を中心とした地方移住に対する関心の状況、企業側より生じている地方への新たな人の流れを後押しする取組をみていく。最後にこうした新たな取組を進めるにあたっての課題について整理を行う。

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