『地域の経済2020-2021-地方への新たな人の流れの創出に向けて-』の公表にあたって

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内閣府経済財政分析担当では、地域経済に関する報告書を「地域の経済」と題して、公表してきました。2020年以降、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)は地域の経済動向に大きな影響を与え続けています。こうした感染症の影響を俯瞰するためデータの蓄積等をもって、この度「地域の経済2020-2021」を公表する運びとなりました。今回の報告書では、感染症が地域経済に影響を及ぼす一方で、東京圏への転入超過数が大幅に減少するなど、東京と地方の人の流れに変化が見られることから、第1章「ポストコロナ時代における地方への新たな人の流れ」、第2章「新型コロナウイルス感染症の地域経済への影響」の2章立てとしています。

第1章では、感染症を機に、地方への新たな人の流れが生じつつあることに焦点を当てています。これまでの人口の東京一極集中の動きや感染症後の変化について整理した上で、テレワークの普及もあり、若者を中心に地方移住への関心が高まっている等、人々の働き方や暮らし方に対する意識の変化をみています。また、本社機能の地方移転等、地方への新たな人の流れを後押しする企業の取組事例や、副業・兼業やワーケーションといった移住以外の地方とのつながりを取り上げています。

第2章では、2020年を中心に、感染拡大後の地域の経済動向を概観しています。感染症が地域経済に大きな下押し圧力となったことについて、地域の感染症の状況と人出の関係や、観光・消費、生産、雇用の地域別の動向について、分析しています。

本報告が地域経済の現状に関する理解を深めるとともに、ポストコロナ時代を見据えて、地方への新たな人の流れの創出を始め、地域の活性化に向けた取組を検討する際の一助となれば幸いです。

最後に、本報告の作成にあたって、企業や地方自治体、関係省庁などの皆様にヒアリングやデータ提供等を通じてご協力を賜りました。この場を借りて深く感謝を申し上げます。

2021年9月

内閣府政策統括官(経済財政分析担当)

村山 裕

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