第2章 地域経済の発展に資する地域金融

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第1章でみたとおり、日本経済の緩やかな回復が続いているなかで、各地域においても、緩やかな景気回復が続いている。2012年から始まった今回の景気回復局面では、雇用情勢等にみられるように、地域間のばらつきが小さいことが一つの特徴となっている。その背景としては、今回の景気回復が輸出に依存した外需主導によるものではなく、個人消費や設備投資といった内需を中心としたものであったことから、産業構造の相違に伴う輸出依存度の違いに左右されずに、それぞれの地域において経済成長してきたことが考えられる。

こうした中、内需主導による地域の経済成長を資金面から支える、地域の金融機能の役割が注目される。地方における中心的な経済主体である中小企業は、大企業と比較して直接金融による資金調達が難しく、間接金融への依存度が高い。このため、地域の金融機関が融資等の手段を通じて中小企業を支援することで、地域経済を下支えする役割は非常に大きいと言える。

一方、中長期的な視点に立つと、人口減少・少子高齢化社会を迎えたなかで、多くの地域では、今後、労働力の減少が避けられない。そのため、地域経済を活性化するためには、生産性の向上や、新たな成長の芽となる産業の育成が不可欠である。こうした中、地域の金融機関においても、以前からの担保や保証に基づいた融資に限らず、企業の事業内容や成長可能性等も考慮した事業性評価に基づいた融資を行う取組が進んでおり、こうした金融機関の活動が、地域の経済に活力をもたらすことが期待されている。

本章では、地域経済の成長と発展に資する方策を探るため、地域における金融機能に着目し、地域における金融と経済の関係を分析するとともに、今後の地域経済において、金融機能が果たすべき役割について展望することとしたい。

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