第3章 第2節 各地域の経済動向

[目次]  [戻る]  [次へ]

1)北海道地域の経済動向

北海道地域経済は、2017年後半から2018年前半にかけて、全国の他地域と比べて回復の程度は弱いものの、基調としては緩やかな回復基調が続いた。観光面では、インバウンドを含む来道客数が増加しており、好調となっている。また、2016年夏の台風により、日勝峠(国道)が寸断されるなどの被害が発生し、物流等への影響が生じていた。2017年春からはその復旧工事が本格化し、建設業やリース産業への需要が高まった。なお、2018年9月には、北海道胆振東部地震及び地震による停電の影響がみられ、旅行・観光への影響の他、生産・生活面の影響がみられた。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年4-6月期は、酒税法の改正による酒類の安売り規制前でビールの駆け込み需要等により食料品製造業の生産が増加したことなどもあり、持ち直しの動きが見られていたが、同年7-9月期には、おおむね横ばいの動きとなった。同年10-12月期には、鉄鋼の出荷が好調なこともあり、再び持ち直しの動きが見られている。2018年1-3月期は業務用ビール等で値上げ前の駆け込み需要があり食料品製造業の生産が増加し、また、同年4-6月期は自動車駆動伝導装置の生産ラインが増設されるなど輸送用機械の生産が増加したこともあり、持ち直しの動きが続いている(第3-2-1図)。
 第1次産業については、生乳生産が2017年7-9月期には、天候による乳牛のえさ(牧草)の質の低下などから前年を下回っていたが、牧草が新しい年のものに切り替わった後の同年10-12月期から2018年4-6月期にかけて回復し、乳製品向けが増加した。主な水産物14の生産額は、2017年7-9月期はほっけ、さんま等が減少したこともあり、前年を下回った。2017年10-12月期から4-6月期にかけては、ほっけ、たこ類等が増加したこともあり、前年を上回った。
個人消費: 2017年4-6月期以降、百貨店・スーパー販売額が前年同月比でほぼ横ばいが続いており、底堅く推移していた。2018年1-3月期には、サービス関連支出を中心に地域別消費総合指数が上昇するなど、持ち直しの動きが見られ、4-6月期も持ち直しの動きが続いている。しかしながら、全国と比較するとその動きは相対的に低い位置にある。
観  光: 訪日外国人の増加などもあり、2017年後半以降、来道者数は前年を上回り続けている。
建設活動: 住宅建設は、貸家などが前年を下回っていることから、2017年以降、前年を下回っている。公共投資は、2017年春以降、2016年夏の台風被害の復旧工事が本格化したこともあり、前年度を上回るペースで執行が進んでいたが、2017年度末時点での執行額は前年度とほぼ同水準となった。2018年4-6月期は2017年度とほぼ同様の執行ペースとなっている。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年後半以降、前期を上回っている。
雇用情勢: 有効求人倍率は2018年4-6月期において、1.21となり、1を上回る水準が続いている。また、完全失業率は低水準で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 2017年後半から2018年1-3月期にかけて、件数はおおむね前年を下回ったものの、負債総額は前年を上回っている。しかし、2018年4-6月期は件数に加えて、負債総額も前年を下回っている。

2)東北地域の経済動向

東北地域では、2017年後半から2018年前半にかけて、全国の他地域と比べて消費の回復の程度が弱く、景気の一部に弱さがみられるものの、緩やかな回復基調が続いている。生産面では、世界的な需要の高まりにより、はん用・生産用・業務用機械がけん引している。また、集積している電子部品・デバイス産業についても、車載向けのコネクタが引き続き好調で高水準を維持するなど、海外向け製品の生産等により、好調を維持している。

一方で、2017年後半から2018年前半の降雪及び寒波により、小さな店舗への来店客数が減少するなど、天候要因が個人消費に与える影響が大きかった。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年4-6月期は、半導体需要の高まりにより半導体製造装置等が増加し、はん用・生産用・業務用機械が増加したことなどもあり、持ち直しの動きがみられた。同年7-9月期には、海外向け需要の回復等により超硬工具等が増加したことにより、引き続き、持ち直しの動きがみられた。同年10-12月期には、車載、スマートフォン向け需要が好調なことから電子部品・デバイスが増加したことにより、持ち直した。2018年1-3月期には、スマートフォン向けコネクタで一服感がみられたが、車載向けの需要が引き続き好調なことにより、全体としては、引き続き、持ち直した。4-6月期には、スマートフォン向けコネクタは減少したものの、世界的な半導体需要もあいまって、前期に続き、持ち直している(第3-2-2図)。
個人消費: 2017年4-6月期以降、百貨店・スーパー販売額が、大型百貨店の閉店による売り場面積の減少や天候要因による主力商品である衣料品の不振などにより、前年同月比で減少が続いており、足踏みがみられている。
 また、2018年1-3月期には、サービス関連支出を中心に地域別消費総合指数が上昇するなど、底堅く推移していたが、2018年4-6月期には、前期に押し上げていたサービス関連支出が低下するなどしたことから低下に転じて、再び足踏みがみられている。
 なお、全国と比較するとその水準は低い。
建設活動: 住宅建設は、2017年以降、分譲が前年を上回ったものの、持家、貸家が前年を下回っていることから前年を下回っている。公共投資は、東日本大震災に関連する復旧工事が2017年春以降ピークアウトしたことにより、2017年度は、前年度を下回った。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年以降、前年を下回っている。
雇用情勢: 有効求人倍率は2018年4-6月期において、1.64となり、1を上回る水準が続いている。また、完全失業率は低水準で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 2017年後半にかけて負債総額は減少していたが、件数は増加又は横ばいを続けており、2018年1-3月期、4-6月期と2期連続で、件数、負債総額ともに前年を上回っている。

3)北関東地域の経済動向

北関東地域経済は、2017年7-9月期までは緩やかな回復基調が続き、同年10-12月期から回復の度合いが高まった。生産は、輸送機械に一時的な落ち込みがみられたが、持ち直しの動きが強まっている。消費は、おおむね持ち直している。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年4-6月期から7-9月期には、海外需要の好調さを背景に、持ち直しの動きがみられた。2017年10-12月期には、「輸送機械」に落込みがみられたが、「汎、生産用、業務用機械」を中心に増加したため、持ち直しの度合いは強まった。2018年1-3月期には、「石油・石炭、化学、プラ製品」等が減少した。同年4-6月期には、「輸送機械」が増加した(第3-2-3図)。
個人消費: 2017年4-6月期には、百貨店・スーパー販売額が前年同期比プラスであり持ち直していたが、同年7-9月期にはサービス等が下押し要因となり、緩やかな持ち直しとなった。同年10-12月期には、サービス関連の復調により、持ち直している。2018年1-3月期には、再びサービス関連を中心に落ち込みがみられた。同年4-6月期には、大型小売店やサービス関連に伸びがみられ、持ち直している。
建設活動: 住宅建設は、2017年4-6月期には、前年比でおおむね横ばいとなっていたが、同年2017年後半以降は貸家を中心に前年を下回り、全体でも減少している。公共投資は、2017年後半から同年度累計で前年度を下回っている。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2018年1-3月期まで前年に比べ増加していたが、同年4-6月期に前年を下回った。
雇用情勢: 有効求人倍率は、2018年4-6月期において1.73となり、1を上回る水準が続いている。また、完全失業率は2.0%となり低水準で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 件数は2017年10-12月期まで前年比マイナスで推移していたが、2018年1-3月期から前年比プラスに転じている。負債総額は、前年比2けたの増減を繰り返している。

4)南関東地域の経済動向

南関東地域経済は、2017年後半から2018年前半にかけて、緩やかな回復基調が続いている。生産については、持ち直しの動きがみられている。鉄鋼業では、東京オリンピック・パラリンピック関連の需要がみられた。消費については、低価格志向が続いているが、食料品を中心に堅調に推移しており、恵方巻などの季節商品も好調であった。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、持ち直しの動きがみられている。2017年4-6月期は、インドなど新興国向けの生産用機械等が好調であったことなど前期を上回ったが、同年7-9月期には、定期修理による化学工業の減産が影響し前期を下回った。同年10-12月期には、半導体製造装置などが好調なこともあり、前期を上回ったが、2018年1-3月期には、化粧品が春夏の新製品との端境期のため減産したこともあり再び前期を下回った。同年4-6月期は、中国向けの普通自動車が好調だったこともあり、前期を上回った(第3-2-4図)。
個人消費: 2017年4-6月期以降、持ち直しの動きがみられている。2017年4-6月期に百貨店・スーパー販売額が前年同月比を下回ったが、同年7-9月期以降、前年同月比を上回った。2018年1-3月期には、サービス関連支出を中心に地域別消費総合指数が低下したが、同年4-6月期には、小売店関連支出を中心に上昇した。
建設活動: 住宅建設は、分譲などが前年を下回っていることから、2017年7-9月期以降、前年を下回った。2018年1-3月期は、2017年年初に着工した東京オリンピック・パラリンピック選手村の工事の反動減などから、前年同期を下回った。公共投資は、2018年1-3月期以降、前年同期比を下回り、2018年度累計で前年度を下回った。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年以降、前年を上回っている。
雇用情勢: 有効求人倍率は2017年7-9月期において、1.44となり、1を上回る水準が続いている。また、完全失業率は低水準で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 件数は2017年7-9月期以降、前年を下回った。負債総額は2017年7-9月期以降、前年を上回っていたが、2018年1-3月期以降、前年を下回った。

5)甲信越地域の経済動向

甲信越地域経済は、2017年後半は、緩やかな回復基調が続き、2018年前半は、回復の程度が強まり、緩やかな回復が続いている。生産は、電子デバ、電気・情報通信工業及び汎・生産・業務用機械工業に動きがみられたが、基調としては持ち直しているものの、2018年4-6月期では一服感がみられる。消費は、地域別消費総合指数が好調を維持したことで持ち直しの動きが続き、2018年1-3月期に動きが改善され、4-6月期では緩やかに増加している。また、2018年頭の寒波に伴う大雪の影響は、比較的限定的であった。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年4-6月期及び7-9月期は、国内外の設備投資需要を背景に、汎・生産・業務用機械工業の生産が増加したことなどもあり、持ち直しの動きがみられた。同年10-12月期には、電子デバ、電気・情報通信工業が増加し、持ち直した。2018年1-3月期には、域内主要5業種が減少したため、持ち直しているものの、一服感がみられた。同年4-6月期には、電子デバ、電気・情報通信工業や輸送機械工業、鉄鋼業、非鉄金属、金属製品工業が増加に転じたが、引き続き持ち直しているものの、一服感がみられる。(第3-2-5図
個人消費: 2018年1-3月期に、飲食料品を中心に百貨店・スーパー販売額が前年同月比で上回っており、持ち直した。2018年4-6月期には、百貨店・スーパー販売額に加え地域別消費総合指数が上昇したことにより、緩やかに増加している。
建設活動: 住宅建設は、2018年1-3月期に、持家、貸家が前年を上回ったため、全体で増加したが、2017年後半以降総じて、持家、貸家が前年を下回ったため、全体で減少している。公共投資は、2017年4-6月期以降、同年度累計で、前年度とほぼ同水準となった。2018年4-6月期でも、前年度とほぼ同水準となっている。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年後半から2018年1-3月期までは、前年を大幅に下回っていたが、2018年4-6月期では、大幅に上回っている。
雇用情勢: 有効求人倍率は、1を上回る水準が続いており、2018年4-6月期では、1.73となった。また、完全失業率は低水準で推移するなど、着実な改善が続いている。
企業倒産: 件数は、2017年後半から2018年1-3月期まで、前年を上回っていたが、2018年4-6月期では、前年を下回っている。負債総額は、2017年10-12月期で前年を上回ったものの、2018年以降総じて、前年を下回っている。

6)東海地域の経済動向

東海地域経済は、2017年後半から2018年前半にかけて、緩やかに回復した。国内外での設備投資需要の高まりを背景に、金属工作機械の受注が引き続き好調であることに加え、2018年4-6月期には「輸送機械」、「電子部品・デバイス、電気・情報通信」の生産が好調である。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年7-9月期には、中国、欧米のスマートフォン向け集積回路をはじめとする「電子デバ、電気・情報通信」の生産が増加し、同年10-12月期には、海外向け完成車、自動車部品等の生産が好調で、全体としては、緩やかに増加した。2018年1-3月期には、新型車効果も一巡し、以前ほどの勢いはみられず、緩やかに増加しているものの一服感がみられていたが、同年4-6月期には、海外向け自動車部品や、スマートフォン向け、データセンターのサーバー向けのメモリの生産が好調であり、緩やかに増加している(第3-2-6図)。
個人消費: 2017年4-6月期以降、百貨店・スーパー販売額は、実質季節調整値でみると前期比±0.5%以内で推移していたが、2018年1-3月期には、春物衣料の動きが鈍く、同▲1.3%となった。同年4-6月期には、催事効果に加え、高額品や衣料品に動きがみられたことから同1.5%増となり、持ち直している。
建設活動: 住宅建設は、2018年4-6月期には、持家が前年を下回ったものの、貸家、分譲が上回ったことから、全体では前年同期比6.8%増となっている。公共投資は、新東名高速道路、新名神高速道路等の大型工事があり、2018年4-6月期で見ると年度累計は前年度を上回っている。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年前半は前年に比べて増加していたが、2018年1-3月期には減少し、4-6月期にはおおむね横ばいとなっている。
雇用情勢: 有効求人倍率は2018年4-6月期に1.92倍となり、全国の1.60倍を大きく上回る水準が続いている。また、完全失業率(季節調整値)は2017年7-9月期には2.4%だったところ、その後さらに低下を続け、2018年4-6月期には1.7%となっている。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 件数については2017年10-12月以降、負債総額については2018年1-3月期以降、前年同期を上回っている。

7)北陸地域の経済動向

北陸地域経済は、2017年後半から緩やかに回復し、2018年4-6月期には回復の度合いを高めた。医薬品を中心とする化学工業や、はん用・生産用・業務用機械が引き続き好調を維持しており、生産は高水準である。雇用面では着実な改善が進む一方で、有効求人倍率が2倍を超えるなど、人手不足の影響が強くみられる。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年4-6月期には、スマートフォン用電子部品に一服感がみられていたが、同年7-9月期には新型スマートフォン向け電子部品を量産する等、高水準を維持していた。同年10-12月期には、工場閉鎖、2018年1-3月期には、スマートフォン用電子部品で伸び悩んだことに加え、1月の大雪が特殊要因となり、建築用金属製品や染色整理が、それぞれ生産減となり、一服感がみられた。その後、同年4-6月期には、4月に薬価改定が行われた影響により、医薬品の生産が伸びたことや、はん用・生産用・業務用機械のうち、半導体製造装置等が好調なことにより、依然として高水準を維持している(第3-2-7図)。
個人消費: 2017年4-6月期の百貨店・スーパー販売額は、実質季節調整値でみると前期比0.3%増、同年7-9月期は同0.5増とほぼ横ばいで推移した。同年10-12月期には、台風や気温の影響により衣料品が振るわず同▲1.1%、2018年1-3月期には、大雪により客足が鈍化したことで同▲1.4%と落ち込んだ。しかし、同年4-6月期には地域別消費総合指数において、前期比2.8%と、百貨店・スーパー、乗用車販売を中心に持ち直している。
建設活動: 住宅建設は、貸家などが前年を下回っていることから、2017年4-6月期以降、前年を下回っていたが、2018年4-6月期には、貸家が前年を上回ったことから、増加している。公共投資は、2018年度以降、北陸新幹線の延伸工事が活発化していることから、2018年度累計では前年度を上回っている。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年4-6月期以降前期比でマイナスが続いていたが、2018年4-6月期には、前期比9.9%増となった。
雇用情勢: 有効求人倍率は2018年4-6月期において、2.08となり、全国の中で最も高い水準となっている。また、完全失業率は2018年4-6月期の暫定値で1.7%と、東海と並ぶ低水準で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 企業倒産は、2018年4-6月期には、前年に比べて件数は減少、負債総額はおおむね横ばいとなっている。

8)近畿地域の経済動向

近畿地域経済は、2017年後半から2018年前半にかけて、全国の他地域と比べて回復の程度は弱いものの、基調としては緩やかな回復基調が続いた。生産は、ガスタービンなどの一時的要因によって上下するものの、化学工業の伸びに支えられ、基調としては持ち直している。一方、消費は、堅調なインバウンド需要もあり、基調としては引き続き持ち直しの動きがみられる。なお、2018年6月に大阪北部地震が、同年7月に平成30年7月豪雨が発生したが、近畿地域における経済面での影響は限定的であった。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年4-6月期は、車載向けリチウムイオン蓄電池の生産が増加したことに加え、米国など国内外の電力会社向けのガスタービンの受注が増加したことにより、持ち直した。同年7-9月期及び10-12月期には、スマートフォン向け部品の生産減少を背景に電子部品・デバイス工業が伸び悩み、持ち直しているものの、一服感がみられた。2018年1-3月期には、化学製品で一部持ち直しの動きがみられたが、電子部品・デバイス工業の伸び悩みが続き、全体としては引き続き一服感がみられた。同年4-6月期には、化学工業の上昇を受けて、持ち直している(第3-2-8図)。
個人消費: 2017年4-6月期以降、百貨店・スーパー販売額が前年同月比でほぼ横ばいが続いた。同年10-12月期には、訪日外国人に加えて国内向けの販売などに動きがみられ、「衣料品」等が好調であったことから、持ち直しの動きがみられる。しかしながら、全国と比較するとその動きは相対的に低い位置にある。
建設活動: 住宅建設は、2017年後半以降、原料価格の上昇を受けて製品の値上げが行われたこともあり、分譲などが前年を下回った。2018年4-6月期においては、価格転嫁が進んだこともあり、持家などで前年を上回ったことから、全体で上昇している。公共投資は、2017年においては、同年度累計で前年度を下回っていたが、2018年度4-6月期で見ると、前年度とほぼ同水準となった。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年以降、同年10-12月期に前年をやや下回ったものの、総じて前年を上回っている。
雇用情勢: 有効求人倍率は2018年4-6月期において、1.53となり、1を上回る水準が続いている。また、完全失業率は低水準で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 2017年後半から2018年1-3月期にかけて、前年同期を上回っていたが、同年4-6月期は下回っている。負債総額は2018年1-3月期以降、前年同期を上回っている。

9)中国地域の経済動向

中国地域経済は、2017年後半から2018年前半にかけて、弱さがみられた時期もあるが、基調としては緩やかな回復基調が続いている。しかしながら、平成30年7月豪雨により工場の操業停止といった直接的な被害、物流の滞りによる部品供給の遅れなどサプライチェーンを通じた影響、インフラへの被害による影響などもみられるため、地域経済への影響について今後十分に注視する必要がある。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年4-6月期は、おおむね横ばいの動きとなっていたが、同年7-9月期には、はん用・生産用・業務用機械で応需により金型等の生産が増加したことなどから、持ち直しの動きとなった。同年10-12月期から2018年4-6月期にかけて、輸送用機械(自動車)で一部車種の生産が増え堅調な動きもみられるなど、持ち直しの動きが続いている(第3-2-9図)。7月には、平成30年7月豪雨の影響から一時的に低下したものの、足下では回復の動きがみられる。
個人消費: 2017年4-6月期以降、百貨店・スーパー販売額が前年同月比でほぼ横ばいが続いており、持ち直しの動きが続いているものの、足踏みが見られていた。2018年1-3月期には、サービス関連支出を中心に地域別消費総合指数が上昇するなど、足踏み状態から脱却していたが、同年4-6月期には、サービス関連支出が伸び悩み、再び足踏みがみられている。また、7月の景気ウォッチャー調査からも個人消費に対する平成30年7月豪雨の影響がみられる。
建設活動: 住宅建設は、分譲などが前年を上回っていたことから、2017年以降、おおむね前年を上回っていたが、2018年4-6月期は分譲が弱含むなどして前年を下回っている。公共投資は、2017年春以降、2017年度累計で前年度とほぼ同水準となっていたが、2017年度末時点で見ると、前年度を下回っていた。2018年4-6月期は2018年度累計で前年度を上回っており、今後も平成30年7月豪雨の復旧工事の本格化が見込まれる。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年後半以降、前期を下回っている。
雇用情勢: 有効求人倍率は2018年4-6月期において、1.83となり、1を上回る水準が続いている。また、完全失業率は低水準で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 件数は2017年10-12月期に前年を上回ったものの、2017年後半以降はおおむね前年を下回っており、2018年4-6月期は横ばいとなった。負債総額は2017年7-9月期に前年を上回り、同年10-12月期から2018年1-3月期まで前年を下回っていたものの、同年4-6月期は再び前年を上回った。

10)四国地域の経済動向

四国地域経済は、2017年後半から2018年1-3月期にかけて、弱さがみられるものの、緩やかな回復基調が続いた。同年4-6月期には、消費が回復しつつあることを受けて、一部に弱さがみられるものの、緩やかな回復基調が続いている。ただし、2018年7月の「平成30年7月豪雨」は生産、消費共に影響を与えている可能性が考えられ、景気ウォッチャー調査(2018年7月)でも、影響を指摘する声が多く出ていることもあり、今後も注視する必要がある。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年前半に蓄電池などの生産減少から電気機械が低下したが、同年後半には合成繊維の原料などの生産増加による化学・石油石炭製品の上昇もあり、おおむね横ばいとなっている。2018年1-3月期は化学・石油石炭製品や電気機械が伸び悩んだこともあり、やや落ち込んだものの、同年4-6月期には医薬品の生産増加を背景とした化学の上昇などを受けて、引き続き横ばいで推移している(第3-2-10図)。
個人消費: 2017年7-9月期における百貨店・スーパーのクリアランスセールが振るわなかったことなどにより、足踏みが見られたが、同年10-12月期は催事関係が好調であったことを背景に、底堅く推移した。2018年4-6月期には、小売関連支出を中心に地域別消費総合指数が上昇するなど、持ち直しの動きが見られている。しかしながら、全国と比較するとその水準は低い位置にある。
建設活動: 住宅建設は、2017年前半は貸家などが前年を上回ったことから、全体として前年を上回った。2017年10-12月期以降、持家や貸家などが前年を下回っていることから、全体として前年を下回っている。公共投資は、2017年春以降、大型の公共工事が一巡したこともあり、2017年度累計で前年度を下回っていたが、2018年4-6月期は前年度を上回った。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年後半において、前年を上回ったものの、2018年は前年を下回っている。
雇用情勢: 有効求人倍率は2018年4-6月期において、1.64となり、1を上回る水準が続いている。また、完全失業率は低水準で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 2017年後半から2018年1-3月期にかけて、前年同期を上回っていたが、同年4-6月期はおおむね横ばいとなっている。負債総額は2018年1-3月期は前年同期を上回っていたが、同年4-6月期は下回っている。

11)九州地域の経済動向

九州地域経済は、2016年10-12月期から緩やかに回復しており、2017年4-6月期にはの度合いが高まった。生産面では、半導体需要の堅調さや海外における自動車需要の高まり等により、高水準で推移している。なお、2017年7月に発生した九州北部豪雨については、操業を一時停止する工場もみられたが、生産面への影響は限定的であった。消費面では、高額品や化粧品が堅調であり、また地元球団の優勝セールも追い風となり、持ち直しの動きが続いていたが、2018年4-6月期には持ち直している。

(各分野の動向)

生産活動: 鉱工業生産は、2017年4-6月期は、四輪自動車等が強含んだことにより高水準で推移していたが、同年7-9月期には、半導体製造装置等が減少し一服感がみられた。同年10-12月期には、半導体関連の好調さを背景に、高水準で推移したが、2018年1-3月期には、スマートフォン部品等に受注減があり、再び一服感がみられた。同年4-6月期には、普通乗用車等を中心に、高水準で推移している(第3-2-11図)。
個人消費: 2017年4-6月期以降、百貨店・スーパー販売額は前年同期比で多少の上下はあるものの、高額品や化粧品が堅調であり、持ち直しの動きが続いている。2017年10-12月期には、地元球団の優勝セールが追い風となった。2018年4-6月期には、サービス関連支出にも伸びがみられ、持ち直している。
建設活動: 住宅建設は、持家などが前年を上回っていることから、2017年7-9月期まで前年を上回っていたが、2017年10-12月期以降マイナスに転じている。2018年4-6月期には、分譲住宅が増加に寄与し、全体としても増加している。公共投資は、2016年の熊本地震や2017年の九州北部豪雨の復旧工事等があり、2017年度累計で前年度を上回っていた。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2018年1-3月期まで前年を大幅に上回っていたが、同年4-6月期には前期に比べ減少している。
雇用情勢: 有効求人倍率は2018年4-6月期において、1.53となり、上昇が続いている。また、完全失業率は概ね3%前後で推移している。このように雇用情勢は、着実な改善が続いている。
企業倒産: 2017年春から秋にかけては件数負債総額ともに前年を下回っていた。2018年1-3月期以降、件数は前年上回っているものの、負債総額は前年を下回っている。

12)沖縄地域の経済動向

沖縄地域経済では、2017年後半から2018年前半にかけて、全国の他地域と比べて回復の程度は強く、着実な回復が続いている。観光は、インバウンド需要を含む入域観光客数が好調を維持しており、堅調に増加している。消費は、食料品が堅調に推移し、インバウンドによる消費需要も好調なことから、堅調に増加している。また、2018年4月から5月にかけて、はしかが流行し、同年6月に、県により終息宣言がなされたものの、ゴールデンウィーク等の旅行需要に影響がみられた。

(各分野の動向)

観  光: 入域観光客数は2017年8月に初の単月100万人台を記録して以降、毎月70万人以上で推移し、2018年6月では56か月連続で各月の過去最高を更新した。国内客は、2018年4-6月期ではしかの影響により伸び率が縮小したものの、個人旅行を中心に堅調な旅行需要で増加した。外国客は、航空路線拡充やクルーズ船の寄港回数の増加により、大幅に増加した。以上により観光は、2017年4-6月期以降、堅調な増加が続いている。(第3-2-12図
個人消費: 2017年10-12月期以降、百貨店・スーパー販売額は実質季調値で見ると減少が続いている。2018年1-3月期には、サービス関連支出を中心に地域別消費総合指数が低下したものの、2018年4-6月期には財関連、サービス関連ともに上昇し、全体では堅調に増加している。また、全国と比較してもその動きは相対的に高い位置にある。
建設活動: 住宅建設は、分譲などが前年を上回っていることから、2018年以降、前年を上回っている。公共投資は、2017年4-6月期以降、那覇空港第二滑走路関連工事が各期で見られたこともあり、2017年度累計で前年度を上回っていたが、2018年4-6月期は、前年度を下回った。
設備投資: 設備投資については、民間非居住用建設工事は、2017年後半以降、前年を大幅に上回っていたが、2018年4-6月期では大幅に下回った。
雇用情勢: 有効求人倍率は2017年10-12月期において、1.28となり、1を上回る水準が続いている。また、完全失業率は4%未満で推移するなど、着実な改善が続いている。
企業倒産: 2017年7-9月期に件数、負債総額ともに前年を上回っており、2018年1-3月期に件数、負債総額ともに前年を下回ったものの、2018年4-6月期では件数、負債総額ともに前年を大幅に上回っている。

(コラム:景気ウォッチャー調査を活用したテキスト分析及びインバウンドの動向分析への応用)

内閣府が実施する景気ウォッチャー調査は、毎月、調査主体の景気判断に加え、その理由をテキスト形式で尋ねており15、2000年1月の調査開始からこれまでに、累計で40万件以上のテキストデータが得られている。近年、大量のテキストを数量化する技術(テキストマイニング)の手法が発展している中で、景気ウォッチャー調査のテキストデータが、分析の対象として注目されている16。ここでは、その基礎的な分析結果として、同調査における判断理由テキストの基本的な特徴とDI値との統計的関係の分析、さらにはテキストデータが示す経済イベントとしてインバウンドの動向を取り上げ、関連の経済統計との連動性についての分析を簡単に紹介する。

(景気ウォッチャー調査の判断理由テキストの特徴)

最初に、判断理由テキストの基本的な特徴を確認するため、現状判断と先行き判断の各テキストで頻出する形態素17の出現頻度を集計した(コラム表3-1-1)。現状判断では、「前年」「売上」「来客」「減少」「単価」のように、過去との比較で消費動向を具体的に表現する形態素の出現頻度が高いことが示される。一方、先行き判断については、「状況」「今後」「景気」「良く」「売上」といった景気全般について方向性を述べる形態素の出現頻度が高いことが示される。

特に、現状判断テキストでは、「前年」の出現率が特に高く、景気ウォッチャーは景気の現状判断を行うにあたり、前年の状況を手掛かりに景気動向を感じ取っていることが示唆される。

(判断理由テキストとDI値との定量的な関係)

次に景況感の強弱に応じてどのような形態素が景気判断テキストに出現する傾向があるかを確認するため、DI値の水準と形態素の出現頻度との相関係数を算出した(コラム表3-1-2)。DI値と正の相関が高い形態素には、現状と先行きのどちらにも「良く」「活発」「上向き」「順調」「好調」といった景気をポジティブに表現する形態素が上位に並んでいる。逆にDI値と負の相関が高い形態素には、「減少」「悪化」「激減」といったネガティブな語感を持つ表現のほか「ますます」「極端」といった傾向を強調するような形態素が上位になっている。

このような形態素がDI値と相関関係を持つという特徴を利用し、景気の改善と悪化についてそれぞれ相関係数が高い形態素の出現数を集計した結果と、実際の先行き判断DIとの比較を行った(コラム図3-1-3)。両者の相関係数は0.96であり、景気判断テキストに含まれた形態素が、DIの傾向をおおむね捉えている傾向が確認できる。結果からは、回答者が景気の判断理由について景気判断と整合的に一定の言葉遣いを用いながら景気動向の回答を行っていることがうかがえる。

(判断理由テキストが示す経済イベントの影響と経済統計との連動性)

景気ウォッチャーの判断理由にある、特定の経済イベントについても分析した。事例として名詞「インバウンド」及び「訪日」(以下、インバウンド。)の出現頻度と、訪日外国人支出統計の変化率との相関を時系列で比較し、その形態素の出現頻度が、実際の経済統計と相関を持つかについて確認した(コラム図3-1-4)。

2014年末から2015年にかけて、景気判断を「良くなっている」とした判断理由のテキスト内で、インバウンドが出現することが多くなっている。2015年末からは変化が見られ、「悪くなっている」とするテキストに出現する回数が増加したが、その後、2017年には再び「良くなっている」に出現する回数が増加している。

そこで、発生頻度の差と、訪日外国人旅行支出(一人当たり)の変化率との比較を行うと、相関係数は0.6程度であり、両者が概ね連動している傾向が見られた。ここでの集計では、インバウンドがどのような文脈で使用されたかを考慮していないため、両者の相関関係の解釈には更なる検証が必要であるが、先行的に把握できる景気判断テキストのデータにより、その後に観測できる経済統計の傾向を予測できる可能性がある。

(まとめ)

以上のとおり、景気ウォッチャー調査の判断理由テキストは、テキストマイニングによって、経済分析の新たな手段として活用できる可能性を示した。近年、景気ウォッチャー調査のテキストを教師データとして学習した機械が、今度は、日々の新聞記事などを読みとることで、リアルタイムに景況感を算出するといった研究への応用も進んでいる18。テキストマイニングによって明らかにされる統計的な分析結果は、機械学習への応用により、主要な経済指標の先行指数としても活用できるなどの意義を持つ。テキストマイニングと機械学習の発展により、景気ウォッチャー調査は、長期間にわたる日本経済の景気変動を記録した貴重なデータとして一層の活用が進むことが期待される。


脚注14 ここで、主な水産物とは、するめいか、さんま、すけとうだら、たこ類、ほっけを対象魚種とした生産額を指す。
脚注15 景気判断と判断の理由は、景気の現状と先行きの2つ。
脚注16 岡崎・敦賀(2015)、山澤(2018)など。
脚注17 テキストマイニングでは文章を構成する最小単位(名詞、動詞、形容詞など)を一般に形態素と呼ぶ。
脚注18 山本・松尾(2016)、小寺・藤田・井上・新田(2018)など
[目次]  [戻る]  [次へ]