第2章 少子高齢化・人口減少と地域の経済
少子高齢化や人口減少という構造変化の下、多くの地域では、緩やかながらも生産年齢人口の減少が続いている。働き手の減少は、地域の持っていた所得を稼ぐ力、付加価値創造力が失われることを意味する。ここでは、こうした慢性的な人口減少問題の弊害を受ける地域経済の現状を踏まえ、立て直しに向けた取組について検討する。
<ポイント>
○少子高齢化や人口減少といった人口要因だけを勘案すると、ほとんどの道府県は他県からの移入超過となり、財政の都道府県間移転額は1.5倍に拡大。地方の所得に占める年金給付の割合も高まる。ローカル・アベノミクスは、東京一極集中の是正と地方創生でこうした状況を変革するもの。再び付加価値生産力を高めるためには、グローバルネットワークの利用、地元固有の資源の活用がポイント。
○特に、インバウンド需要の取込みに向けて、リピーター、長期滞在の外国人観光客を呼び込むよう、地域資源のパッケージ化を図り、DMOによる情報と交通のネットワークを整備し、発着枠利用率の低い空港を活性化することが必要。
○人口減少は地域のサービス業全般にマイナスの影響を与える。持続的なサービス提供が可能になるよう、街づくりの見直し、生活インフラの再配置を進めると同時に、新しいビジネスモデルが展開・普及するよう阻害要因を除くべき。
○特に、コンパクトシティ・ネットワーク化が進む中、住民生活の質を維持する取組を進めるべき。その際、弱体化し続けている公共交通インフラの整備は、高齢化を踏まえると重点課題。新機軸をもたらす企業経営の参画、新技術の導入を促す規制整備、コミュニティバスやデマンド交通といった新たな交通サービスの標準化を進めることが必要。