2.多くの地域で持ち直している地域経済
地域経済の動向をみると、2010年8月には多くの地域では持ち直しの動きがみられる一方、北関東、東海などでは持ち直してはいるものの緩やかなものに止まる状態にあった(第1-1-1表)。
- 内閣府「地域経済動向」より抜粋。
- 表のうち、は上方に変更した地域。は下方に変更した地域。
それが11月には、北陸、九州、沖縄を除く地域で足踏み状態となった。これは、10月のたばこ税増税前の駆け込み需要や、12月からの家電エコポイント制度2の変更を前にしたテレビ等の販売の急増等により、全ての地域で消費に持ち直しの動きがみられたものの、鉱工業生産が9月のエコカー補助金の終了による自動車生産の落ち込みや輸出の鈍化等などから、東海、中国など多くの地域で減少したことによるものであった。一方、鉱工業生産の伸びが鈍化しなかった九州と、8月のインターハイ開催などにより観光が好調だった沖縄の2地域においては、引き続き持ち直しの動きがみられた。
その後、11年2月には、鉱工業生産ではエコカー補助金の終了による減少が落ち着いたことや輸出により持ち直しの動きがみられたことなどから、東北、北関東、南関東、東海、中国、四国の6地域で持ち直しの動きがみられるようになり、景気が足踏み状態から抜け出す動きが地方に広がりつつあった。
しかし、3月に発生した東日本大震災は、鉱工業生産、個人消費の落ち込みの程度により、各地域の景気に大きな差をもたらすことになった。被災地の東北では景気は極めて大幅に悪化した。また、景気は、北関東、南関東でも大幅に悪化し、東海では弱まっていった。一方、鉱工業生産の影響が小さかったことなどから、北陸では緩やかに持ち直しており、四国では持ち直しの動きがみられた。
その後、東日本大震災で混乱した自動車の部品などのサプライチェーンの復旧が進み、幅広い地域で生産が回復してきたことや、自粛ムードの弱まりや地上デジタル放送への完全移行に伴うテレビ等の駆け込み需要などにより、個人消費も多くの地域で増加したことなどから、8月には、景気は、東北、北関東、東海では持ち直し、北陸、近畿、中国、九州では緩やかに持ち直している状態に戻った。一方、四国では自動車産業の集積が乏しいことや、世界的な半導体市況の停滞が響いて電気機械を中心に生産が減少したことから、景気は弱含んでいる。
このように、地域の主力産業の動きなどに影響されて地域ごとにやや異なる動きをみせているものの、サプライチェーンの回復による生産の増加や輸出に支えられ、11年10月時点では、多くの地域において景気は持ち直している。