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第1章 大きな変動に見舞われた地域経済

第1節 総論 -この1年間の景気の基調-

1.景気は東日本大震災による弱い動きから持ち直しへ

我が国の景気は2010年秋以降、アジアにおける生産調整を背景に輸出の弱さが次第に明確となるとともに、猛暑効果の反動や環境対応車購入補助金制度(以下、「エコカー補助金1」という)の終了の影響もあって、足踏み状態になった。しかし、11年に入ると、輸出が徐々に持ち直し、国内においてもエコカー補助金終了に伴う生産や消費の一時的な落ち込みが緩和していくのに伴い、景気は再び持ち直しに転じつつあった。

そのような中、11年3月11日に、日本経済は東日本大震災という大きなショックに遭遇した。今回の震災は被災地における被害規模が甚大であるだけでなく、サプライチェーンの寸断や電力供給の制約、原子力災害等を通じ、被災地以外にも広く経済的な影響を及ぼしたことから、景気全体にも弱い動きが目立つようになった。その後、サプライチェーンの立て直しによる生産の持ち直しなどを背景に、11年夏には、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、景気は持ち直しに転じたが、秋には、そのテンポが緩やかになっている。なお、夏以降、円高が急激に進行・高止まりし、また、海外景気の回復力が弱まっており、為替レート・株価等の変動や海外景気の下振れ等によっては、景気が下振れするリスクも存在する状況となっている。


1 エコカー補助金制度の期間は、2009年4月10日~10年9月7日終了。一定の環境性能を有する車を購入する場合に補助金を交付(乗用車で最大25万円)。
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