第1章 第3節 1 消費の動向

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(持ち直してきた大型小売店販売額)

大型小売店販売額(店舗調整済)の前年同期比をみると、多くの地域で、2009年中は減少が続いたが、2010年に入ると、減少幅が縮小しており、持ち直してきている(第1-3-1図)。

第1-3-1図 大型小売店販売額の推移―減少幅が縮小し、持ち直してきている大型小売店販売額―

第1-3-1図

(備考)

  1. 経済産業省「商業販売統計」により作成。店舗調整済。
  2. 東海は、愛知、岐阜、三重の中部経済産業局「東海3県」。北陸は、富山、石川、福井の同局「北陸3県」(いずれも再掲)。
  3. 原則として、経済産業省本省の公表値を使用。
  4. 北関東、南関東、東海、北陸の2010年7~9月期値は速報値を使用。

大型小売店のうち百貨店の販売額は、2010年1~3月期以降は総じて減少幅の縮小がみられ、なかでも前年大きく落ち込んだ三大都市圏が含まれる南関東、中部、近畿では大幅に改善した(第1-3-2図)。

第1-3-2図 百貨店販売額の推移

第1-3-2図

(備考)

  1. 経済産業省「商業販売統計」により作成。店舗調整済。
  2. 北関東は、新潟、静岡の2県を含む関東経済産業局「東京圏以外」。南関東は同「東京圏」。
  3. 中部は富山、石川を含む中部経済産業局管内計。北陸は富山、石川、福井の3県計。
  4. 原則として、経済産業省本省の公表値を使用。

コンビニエンスストアの販売額も百貨店販売額とほぼ同様の動きを示したが、特に2010年7~9月期には、記録的な猛暑によるアイス、飲料等の売上増加、10月にはたばこ税増税による駆け込み需要等から、全ての地域で前年比プラスとなった(第1-3-3図)。

第1-3-3図 コンビニエンスストア販売額の推移

第1-3-3図

(備考)

  1. 経済産業省「商業販売統計」により作成。店舗調整済。
  2. 原則として、経済産業省本省の公表値を使用。

(政策の影響を受けた乗用車と家電販売)

乗用車の販売の動きを乗用車新規登録・届出台数の前年比でみると、エコカー減税・補助金制度が2009年4月から始まり、同年4~6月期以降、減少幅が縮小もしくは増加に転じた。2009年10~12月期以降は、2010年4~6月期まで全ての地域で前年比二桁増加が続いた。しかし、2010年7~9月期には、エコカー補助金制度終了による乗用車販売の反動減により、全ての地域で増加幅が大幅に縮小した(第1-3-4図)。

第1-3-4図 乗用車新車登録・届出台数の推移
―エコカー補助金の終了(2010年9月)前後で、駆け込み需要と反動減―

第1-3-4図

(備考)

(社)日本自動車販売協会連合会「自動車登録統計情報」の登録ナンバーベース及び(社)全国軽自動車協会連合会「軽自動車新車日報累計表」により作成。

主要家電量販店の売上金額の前年同期比をみると、家電エコポイント制度が2009年5月から始まったことを背景に、同年夏以降、概ね増加が続いた。2010年3月には、家電エコポイント制度の対象商品が4月から一部変更になることによる駆け込み需要等から、薄型テレビの販売が急増し、全ての地域で大幅な増加となった。さらに、7~9月は例年以上の気温の高さからエアコンを中心に全ての地域で前年比増加となった。10、11月には、12月からの家電エコポイント制度の変更を前に全ての地域でテレビ等の販売が急増したことから大幅な増加となった(第1-3-5図)。

乗用車と家電の販売動向は、このところ政策の導入や変更の影響を大きく受けている。

第1-3-5図 主要家電量販店の売上金額の推移

第1-3-5図

(備考)

  1. GfKジャパン集計データ(全国の主要家電量販店販売実績を調査・集計)により作成。
  2. 関東・甲信越は茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、山梨県、新潟県の計。
  3. 売上金額は、テレビ、エアコン、パソコン、携帯電話、DVDプレーヤー、デジタルスチルカメラ、冷蔵庫の合計金額。

(政策の影響を受けた消費マインド)

景気ウォッチャー調査の家計動向の現状判断DIをみると、2010年に入ってからは、7月まで、エコカー補助金制度や家電エコポイント制度の影響により、乗用車や薄型テレビの販売が好調であること等から、概ね上昇を続けた。しかし、9月には、エコカー補助金制度の終了により新車の受注や販売が大幅に減少したことを反映して、低下がみられた一方で、11月には家電エコポイント制度の変更に伴う駆け込み需要で上昇するなど、消費マインドにも政策の影響がみられた(第1-3-6図)。

第1-3-6図 景気ウォッチャー調査 家計関連DIの推移

第1-3-6図

(備考)内閣府「景気ウォッチャー調査」より作成。

(持ち直しの動きがみられる旅行業者取扱金額)

旅行関連の動向をみると、旅行業者取扱金額の前年同月比は、国内旅行、海外旅行ともに2009年半ば頃から減少幅が縮小し、2010年春頃に両者ともに増加に転じた。なお、海外旅行は5月以降急激な増加を示しているが、これは前年のインフルエンザによる落ち込みの反動という面が大きいことに注意が必要である(第1-3-7図)。

第1-3-7図 旅行業者取扱金額の推移

第1-3-7図

(備考)鉄道旅客協会により作成。大手旅行業者12社取扱金額(2008年3月までは13社)。

沖縄への入域観光客数(国内客)や北海道への来道者数をみても、2010年に入ってからは、9月に北海道の来道者数が昨年の大型連休の影響で前年を下回ったものの、総じてみると前年を上回って推移した。

このように、個人消費の持ち直しの動きは、小売関連のみならず、旅行関連にも表われている(第1-3-8図)。

第1-3-8図 観光客数の推移

第1-3-8図

北海道観光振興機構「来道者調査」及び沖縄県観光商工部「入域観光客統計概況」より作成。

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