第3章 第2節 3.外国からの直接投資で地域活性化

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地域外の資源の活用という意味では、外国からの直接投資を促進することも重要と考えられる。

地方における外国からの直接投資案件として最近目立っているのが、リゾートホテルや温泉旅館、ゴルフ場、レジャー施設、レジャー施設近くでの長期滞在型分譲ホテル(コンドミニアム)建設等への外国からの投資である。

外資が参入した案件の多くは、グリーンフィールド投資23というより、既存の日本企業の買収による投資が多い。リゾート開発やゴルフ場開発、不動産等に多額の投資を行ってきた日本企業が、バブル崩壊後の長期にわたる景気低迷の中で経営困難に陥ったり、破綻したりするものが多く現れた。こうした企業を買収する、或いは経営再建を図るといった形で投資がなされている。こうした直接投資は、欧米の大手金融資本や不動産投資ファンドが主体になっている場合が多いが、近年はアジア等、近隣諸国・地域からの投資も目立つようになっている。

こうした投資案件の中には、北海道ニセコ地区、長野県白馬地区におけるスキー場やコンドミニアム等の不動産投資、旅行代理店や不動産販売等の企業設立事例がみられる。両地域では、オーストラリア人の長期滞在型の観光客が急速に増えており、特にオーストラリア資本による投資が目立っている。

外資によるホテルへの投資では、都心の高級ホテルや地方都市のシティホテルを対象にしたものが数の上では目立っているが、観光リゾート地におけるホテル事業を手がけるケースもある。地方におけるホテルへの投資は、雇用や資材調達等を通じ、地域の経済への波及効果も少なくないと考えられる。また、国民の価値観やレジャー嗜好の多様化に追いつけず客足が遠のいて経営困難に陥る老舗温泉旅館を我が国企業と共同して再生させるため、外資が資金やノウハウを提供するケースも増えており、地域の活性化に貢献している。ホテル業への投資の担い手は主として欧米資本であるが、これらに交じって韓国や香港資本がホテルを買収し経営に乗り出す事例もみられる。韓国資本は、例えば、北海道や東北の福島県、九州の長崎県等でホテル事業を行っている。おおむね共通しているのは、韓国からの航空便等、アクセスが良好な地で、ゴルフや温泉観光、買い物が一体的に楽しめるところに資本投下がみられる点である。香港資本も、温泉地や観光地でのホテル経営に投資を行っている。

全国各地には多数のゴルフ場が存在しているが、ゴルフ場開発には多額の初期投資が必要なことから利用料金が高くなったり、過当競争等による利用者の減少で経営に行き詰まったりするケースも多い。そうしたゴルフ場は、他企業に買収されるケースも多く、その中に外資系企業が含まれている。現在、日本のゴルフ場の保有数で上位2社は外資系のゴルフ場企業である。これらは、いずれも欧米資本であるが、近年、ゴルフ場を買収・取得する韓国系企業も増えている。


23.
グリーンフィールド投資とは、直接投資を行う際、法人を新たに設立し、設備や従業員の確保、取引関係の構築や顧客の確保等を全て一から行う投資の方式を言う。

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