第3章 第5節 2.地域ブランドの具体化

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第5節 地域経済とブランド力

地域経済には観光資源のみならず、農業、製造業等、様々な産業が存在しており、それらが渾然一体となったイメージが地域経済のブランド力と言える。

ブランドは一度確立されれば終わりというわけではなく、ブランドを保持するための努力は、ブランドを新しく立ち上げるのと同等の努力を要し、大変手間がかかる。しかし、ブランド力を高めれば、商品・サービスの実際の価値に付加された価値-プレミアム-をもたらすと考えられる。このため、地域経済においてもブランド力を高めることが重要な課題の1つとなっている。

1.地域の総合的なブランド力

地域のブランド力を測った例としては、日経リサーチの「地域ブランド戦略サーベイ」調査がある23。これによると、1位北海道、2位京都、3位沖縄、4位大阪、5位東京となっており、一見して分かるとおり、ブランド力と経済力は必ずしも一致していない(第3-5-1図)。ブランド指数と1人当たり県民所得の散布図を描いてみると、およそ無相関に見える(第3-5-2図)。これは、地域のブランド価値が未だに実現化していないことが示唆されている。このことから、地域のブランド力には、それ自体を高めることと、ブランド力を経済力に転化することの2点が求められていると言える。それに当たっては、広報の力が欠かせない。上手いPR方法を確立しないことには、せっかくの価値が知られざる秘宝に終わってしまうからである。

第3-5-1図 地域ブランド知覚指数

第3-5-1図

(備考) 1. (株)日経リサーチ「2006地域ブランド戦略サーベイ」により作成。
2. 地域ブランド知覚指数とは、地域のブランド価値を測る5つの評価項目(独自性、愛着度、購入意向、 訪問意向、居住意向)から作成された総合指標。

第3-5-2図 地域ブランド知覚指数と1人当たり県民所得

第3-5-2図

(備考) 1. 内閣府「県民経済計算」(04年度)、(株)日経リサーチ「2006地域ブランド戦略サーベイ」により作成。
2. 点は、都道府県。

23.
「地域ブランド戦略サーベイ」とは都道府県名、地域名などについて、独自性や購入意向、訪問意向等について調査し、点数化したもの。

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