第2章 第2節 2.需要増加と生産誘発の関係

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地方圏には都市圏と比較して遜色ない比率の民間需要が存在していることを確認したが、地方圏の需要は地方圏の生産にそのままつながっているのだろうか。

自地域の需要が1単位発生したときに、自地域の生産がどの程度誘発されるかを、後者の前者に対する割合でみると、最も高い関東では79.1%となっているが、最も低い四国では56.4%と、半分近くが他地域への生産に漏れてしまっている(第2-2-6表)。

第2-2-6表 各地域の地域需要による地域別生産誘発比率の変化

第2-2-6図

他方で、自地域の生産が域内需要、域外需要のどちらに依存しているかをみると、中部や中国では域外需要によって生産が誘発される割合が高い(第2-2-7表)。

第2-2-7表 各地域の域内・域外最終需要依存度の変化

第2-2-7図

(備考) 経済産業省経済産業政策局調査統計部経済解析室・新井園枝氏及び尾形正之氏(当時)の執筆レポート 「平成12年試算地域間産業連関表の概要」より抜粋。 個人レポートであり経済産業省公表資料ではないことに注意を要する。

これらをまとめると、関東や九州は域内交易型(自地域の生産を誘発する割合・自地域の需要に依存する割合がともに高い)、近畿は移出型(他地域の生産を誘発する割合が低く、他地域の需要に依存する割合が高い)、東北、中部、中国、四国は地域間交易型(他地域の生産を誘発する割合・他地域の需要に依存する割合がともに高い)、北海道と沖縄は移入型(他地域の生産を誘発する割合が高く、他地域の需要に依存する割合は低い)となる(第2-2-8図)。これらのうち、特に移入型の経済は、自地域の需要増が他地域に漏れてしまうと同時に、他地域の需要増は自地域に及びにくい構造となっており、言い換えれば、景気回復が浸透しにくい構造とも言える。

第2-2-8図 生産誘発率と需要依存率からみた地域特性

第2-2-8図

(備考) 1. 経済産業省経済産業政策局調査統計部経済解析室・新井園枝氏及び尾形正之氏(当時)の執筆レポート 「平成12年試算地域間産業連関表の概要」より抜粋。 個人レポートであり経済産業省公表資料ではないことに注意を要する。
2. 横軸の目盛の0は自地域の生産を誘発する率の全国平均値であり、この線より右にある地域は、 自地域の誘発率が全国平均より高い(他地域の生産を誘発する率が全国平均より低い)ことを示す。 縦軸の目盛の0は自地域の需要に依存する率の全国平均値であり、この線より上にある地域は、 自地域への依存率が全国平均より高い(他地域の需要に依存する率が全国平均より低い)ことを示す。

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