第2章 地域別にみた経済情勢 沖縄
1.主要経済指標の対全国シェアの推移
2.産業・就業構造
(1)域内総生産に占める産業別構成比の推移
(2)就業構造の変遷(産業別構成比の推移)
(3)沖縄地域の特徴
域内人口は135.3万人(2003年)で、対前年比0.75%増加した(65歳以上人口の比率は14.7%)。域内総生産は3.5兆円(2000年度)で対前年度比1.7%増加し、製造品出荷額等は0.6兆円(2002年速報)で、対前年比7.7%減少した。主な指標の対全国シェアの推移をみると、90年以降どの指標もおおむね同水準となっている。
域内総生産に占める産業別構成比の推移をみると、2000年度においては、全国に比べてサービス業、建設業、運輸・通信業の割合が高く、製造業の割合が著しく低い。90年度からの構成比の推移をみると、サービス業、金融・保険業は構成比が上昇したが、建設業、運輸・通信業、卸売・小売業等は低下した。
就業者の産業別構成比の推移をみると、サービス業の上昇が続いている。卸売・小売業、飲食店は2000年まで低下したものの、それ以後はほぼ横ばいとなっている。建設業と製造業もほぼ同水準で推移している。
3.2002年度から2003年央までの経済動向
2002年度において、個人消費は、大型スーパー等の出店の影響で、後半以降、百貨店や既存のスーパーにおいて売上高が前年を下回った。しかし、入域観光客数は、2001年9月の米国における同時多発テロの影響からの修学旅行の回復やパック旅行など低価格商品販売増による個人客の増加などにより増加し、また雇用は、有効求人倍率が緩やかに上昇し、失業率も緩やかに低下するなど、景気は持ち直しの動きがみられた。2003年度に入ると、入域観光客数は、SARSの影響により外国人客が大幅に減少し、4-6月期は前年を下回ったが、7月になると外国人観光客が前年と同水準まで回復したため増加していることなどから、景気は緩やかな改善が続いている。
- 観光:入域観光客数は、2001年に起きた米国における同時多発テロの影響から修学旅行が回復したことを始め、パック旅行など低価格商品の販売増による個人客の増加、更には各種キャンペーンの効果により2002年度中は増加した。2003年度に入ると、国内客は引き続き好調に推移しているものの、SARSの影響による海外路線の運休や減便により、外国人客が大幅に減少した。しかし、その後SARSはほぼ終息し、海外路線の運行再開により、外国人観光客も前年と同じ水準まで回復しており、7月の観光客数は前年を上回っている。また、ホテルの客室稼働率は、2002年度より那覇市内ホテル、リゾートホテルともに、高稼働率で推移している。
- 個人消費:百貨店販売額は、2002年度前半は主力の婦人服の不調、後半以降は大型スーパーやアウトレットモールの出店の影響で前年を下回った。スーパー売上高は、営業時間延長により食料品が好調であったため、2002年度前半は前年を上回ったが、後半以降は大型スーパー出店の影響により、既存店においては衣料品を中心に前年を下回った。なお、全店ベースでは前年を上回って推移している。乗用車新規登録・届出台数は、観光客の増加に伴いレンタカー需要が増加したため、小型、軽自動車を中心に大幅に増加した。
- 建設活動:新設住宅着工戸数は、2002年4-6月期及び10-12月期において減少したものの、おおむね増加傾向で推移した。公共工事請負金額は、2002年度前半は前年を下回って推移したが、10-12月期以降その反動もあり増加に転じた。2003年度に入っても増加が続いている。
- 設備投資:2002年度は、製造業で前年を下回ったものの非製造業で前年を上回ったことから、全産業では前年を上回った。2003年度計画は、製造業では前年を上回るものの、非製造業で下回るため、全産業では前年度実績を大幅に下回っている。
- 雇用情勢:有効求人倍率は、2002年中は緩やかに上昇した。2003年に入るとおおむね横ばいで推移しているが、沖縄としては92年以来の比較的高い水準となっている。完全失業率は、高水準ながらも緩やかに低下しており、厳しい状況のなかで緩やかな改善が続いている。
- 企業倒産:企業倒産件数は、2002年度中は減少が続いたが、2003年4-6月期には11四半期ぶりに前年を上回っている。
4.「景気ウォッチャー調査」にみる沖縄地域の景況
- 現状判断DIは、2001年11月の21.2(調査開始以来最低)を底に上昇に転じ、2002年3月に63.1(調査開始以来最高)まで上昇した。その後低下に転じ、2003年2月に50.6となったものの、同年5月には36.3となった。2003年6月から再び上昇し、同年7月以降は、3か月連続で横ばいを示す50を上回っている。
現状判断DIの推移