第２章 地域別にみた経済情勢 東北
１．主要経済指標の対全国シェアの推移
２．産業・就業構造
（１）域内総生産に占める産業別構成比の推移
（２）就業構造の変遷（産業別構成比の推移）
（３）東北地域の特徴
域内人口は１，２２５万人（２００３年）で、対前年比０．２７％減少した（６５歳以上人口の比率は２２．０％）。域内総生産は４４兆円（２０００年度）で対前年度比０．３％増加し、製造品出荷額等は２０．１兆円（２００２年速報）で対前年比４．１％減少した。主な指標の対全国シェアの推移をみると、域内人口は低下し、域内総生産は上昇した。卸売販売額は９４年に上昇したのち９１年の水準まで低下して横ばい、小売販売額は９４年に上昇したのち横ばいとなっている。 域内総生産に占める産業別構成比をみると、２０００年度においては、全国に比べて建設業の割合が高く、サービス業、製造業、金融・保険業、卸売・小売業等の割合が低い。９０年度からの構成比の推移をみると、サービス業、不動産業等は構成比が上昇したが、建設業、卸売・小売業、製造業は構成比が低下した。
就業者の産業別構成比の推移をみると、サービス業の割合が上昇し、製造業が低下した。卸売・小売業、飲食店は９０年から２０００年まではおおむね横ばいだったものが、２００２年には上昇した。建設業は９０年から９５年にかけて上昇し、２０００年にかけてはほぼ横ばいであったが、２００２年にかけては低下した。
３．２００２年度から２００３年央までの経済動向
２００２年には、IT関連業種の持ち直しから、鉱工業生産は増加したのち、年末にかけて横ばいとなった。完全失業率の上昇が続くなど雇用情勢は厳しい状況が続き、個人消費もやや弱含んだ。２００３年に入っても、電気機械産業など一部に動きはあるものの、鉱工業生産はおおむね横ばいで推移している。このように、東北地域の景気は下げ止まった後、やや弱含んでいる。
- 生産活動：２００２年の４－６月期には電子部品・デバイス工業が海外向けやデジタル家電向けなどを中心に２けた増と高い伸びとなったことから、鉱工業全体でも上昇した。１０－１２月期に入ると、情報通信機械産業が高い伸びとなった一方で、食料品及び電子部品・デバイス工業は、わずかながら前期比でマイナスに転じた。その後、２００３年に入ると、１－３月期に情報通信機械産業もマイナスに転じたことから、全体ではおおむね横ばいとなった。４－６月期に入ると、電子部品・デバイス工業以外の多くの産業が前期比でマイナスとなり、鉱工業全体で前期比１．７％減となった。
- 個人消費：百貨店では、２００２年の夏から秋にかけては、梅雨明けの遅れ、低温、台風の影響などの天候不順が続いたことで主力の衣料品が振るわず、販売額は対前年比で減少を続けた。２００３年に入っては、身の回り品の一部や婦人・子供服に動きがみられたものの、全体としては前年割れを続けている。スーパーでは、営業時間の延長やBSE問題からの回復などで、２００２年８月、９月、１１月は前年比で増加となった。２００３年に入ると、飲食料品は比較的堅調だったものの、衣料品、家庭用品の不振から再び前年割れを続けている。乗用車新規登録・届出台数は、２００２年度中はおおむね増加傾向で推移したが、２００３年４月以降は前年比で減少が続いている。
- 建設活動：新設住宅着工戸数は、おおむね前年を下回っており、特に、２００３年１月から３月にかけては２けた台の大きな減少となった。公共工事請負金額は、２００２年度を通して、基調として前年を下回って推移した。２００３年度に入っても前年を下回っている。
- 設備投資：２００２年度は、製造業が２けたの大幅な減少となり、非製造業も減少したことから、全体でも前年度を下回った。２００３年度計画は、製造業が比較的高い伸びを計画しており、非製造業も増加となっていることから、全体でも前年度を上回る計画である。
- 雇用情勢：２００２年中は、有効求人倍率が上昇したものの、完全失業率は上昇を続けた。２００３年に入り、有効求人倍率はほぼ横ばいとなり、完全失業率は１－３月期に６．６％まで上昇した。その後、４－６月期にはやや改善したものの、雇用情勢は依然として厳しい状況が続いている。
- 企業倒産：企業倒産件数は、２００２年度前半はやや増加傾向で推移していたが、後半は減少した。２００３年度に入ってからは減少幅が拡大している。
４．「景気ウォッチャー調査」にみる東北地域の景況
- 現状判断DIは、２００２年の４月以降、年末にかけて低下を続けた。２００３年に入ってからは、緩やかな上昇を続けている。ただし、５月には宮城県沖を震源とした、７月には宮城県北部を震源とした、ともに震度６弱の地震が続いたことや、７月の低温などから、上昇の程度は全国に比べて小さなものとなっている。
現状判断DIの推移
５．東北地域の主要経済指標
