第2章 第2節 集積メリットを活用している各地の成長企業

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第2章 地域集積を活用している成長企業の事例

第2節 集積メリットを活用している各地の成長企業

前節においては、地域の産業集積との連携を活用している(あるいはそれに取り組んでいる)13の成長企業の事例を紹介した。

これらの企業をみると、いろいろな業種と地域にまたがり、それぞれ多種多様な特性を備え、集積との連携などについても様々な形態があることが分かる。ここでは、各企業の集積との連携のあり方と、成長を支えた要素に着目して整理した結果をもとに着目される点を指摘する(第1-2-2表)。

まず、ほとんどの事例において、企業が周辺の企業と連携している。その形態は、共同研究、共同受注、人材派遣、資材調達、在庫管理、技術補完、情報交換など多岐にわたる。このように、連携の形態としては企業によって様々なものがあることが分かる。

こうした連携の目的としては、共通する資源を活用して経営を効率的にするとともに、共通しない資源については相互に補完することにある。これらの企業は、売上成長率が高いため、設備や資金など資源の制約(ボトルネック)に経営を縛られることが多くなりがちとみられるが、このような連携がボトルネックの緩和に役立っていると考えられる。

こうした連携は、連携の相手が近隣にあるという「集積のメリット」を活かしたものになっていることも分かる。そして、これらの企業は、集積の中において「競争しつつ同時に協調し、共通性や補完性により連結している」という広義のクラスターの条件を満たしている。

このような連携を促進するために自ら連携推進企業(コーディネート企業)の役割を果たしている企業もみられる(事例5、事例11など)。集積とクラスターの違いの一つに、コーディネート機関の存在が挙げられる。これらの企業は、専門的なコーディネート機関の代わりに、自らが共同調達、技術などの情報交流、企画、デザインなどに取り組んでおり、この活動が集積の活性化と、その企業自身の成長にプラスとなっていることが分かる。

このような事例を踏まえると、これから各地域の企業と産業が競争力を高めてゆくには、コーディネート機関の活動を推進力として、単なる集積からイノベーションを促進するタイプの集積であるクラスターに発展してゆくように、内外の多様な知恵を積極的に取り入れつつ、競争制限的にならないように配慮しながら多様な連携に取り組んでゆくことが重要とみられる。

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