地域経済レポート2002の公表にあたって
<新しい産業分野による地域市場の拡大>
地域経済レポートは、地域経済の総合的な把握と、問題点の指摘を目的としたもので、旧経済企画庁調査局により1987年以来毎年刊行されてきたものを内閣府が受け継ぎ、今回は15回目にあたります。
2001年には、輸出の減少を契機とする製造業の在庫調整によって、各地域において景況の悪化が続きました。2002年に入ると、輸出の増加と生産の反転によってすべての地域の景況が下げ止まりに向かい、2002年秋においては、各地で持ち直しの動きがみられます。ただし、デフレの状況が続き、設備投資の回復力が弱いなど、依然厳しい状況にあります。
経済財政諮問会議に設置された「サービス部門における雇用拡大を戦略とする経済の活性化に関する専門調査会」は、2001年5月に「緊急報告」を行い、雇用創出型構造改革のための諸方策を提言いたしました。その中で、「サービス産業雇用創出の例示」として、サービス産業を中心として今後約530万人の雇用創出が可能であるとの試算を公表いたしました。政府は、本年6月に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」を閣議決定し、この雇用創出に向けた規制改革と広報・普及活動を推進することを30のアクションプログラムの一つとしております。
今回の地域経済レポートにおいては、完全失業率が各地域で上昇を続けるなど地域の雇用情勢が厳しい中で、地域経済の安定と発展を支えるものとして、産業と雇用の創出をテーマとして取り上げました。日本経済が、グローバル化や情報化に対応した新しい経済システムへ移行してゆく上でも、各地域において新しい産業、企業、雇用が生み出され、地域の市場が発展してゆくことが重要なカギを握っていると考えられるからです。
このレポートにおきましては、上記専門調査会の「緊急報告」において提言された雇用創出型構造改革の推進の重要性を確認しておりますが、「サービス産業雇用創出の例示」におけるように新しい産業分野と雇用が起点となって地域の市場が活性化されてゆくことを期待いたします。
平成14年10月25日
内閣府政策統括官(経済財政-景気判断・政策分析担当)
岩田 一政