第3章 デフレと期待物価

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我が国経済は2000年代において、2006年半ばからの3年程度の期間を除き、デフレ状況にある。また、その3年程度の期間においても、再びデフレ状況に戻る懸念までは払拭できず、デフレから脱却したとはいえない状態が続いていた。こうした我が国の長引くデフレ基調の背景として、「平成22年度年次経済財政報告」では、バブル崩壊後の長期にわたる需要不足などに加え、低い期待物価上昇率が定着したことが重要であると指摘した。しかし、需要不足や価格競争についての分析は蓄積されてきたものの、期待物価の分析については、議論の前提となる計測方法さえ確立されていない。そこで、第3章では、期待物価を議論の中心に置き、「期待物価の動きはデフレ状況の点検にどのように活用できるか」「期待物価から見てデフレ状況は改善しているといえるのか」「金融政策は期待形成においてどのような役割を果たしているか」といった論点を考える。

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