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高度情報通信社会小委員会 報告 7.11

高度情報通信社会小委員会 報 告
経済審議会
平成7年11月

要 旨

目 次

1.高度情報通信社会の将来像・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1) 一般国民にとっての高度情報通信社会・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2) 産業分野にとっての高度情報通信社会・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(3) 公的部門にとっての高度情報通信社会・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(4) 高度情報通信社会への転換の意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2.高度情報通信社会の実現・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(1) 公的部門における取組の現況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(2) 民間部門における取組の現況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(3) 国際的な取組の現況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(4) 高度情報通信社会に至る道筋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

3.高度情報通信社会の構築に当たっての課題と対応策・・・・・・・・・・・11
(1) 公的部門が果たすべき役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(2) 制度・慣行等の改革・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(3) 経済社会に求められる情報通信の高度化への対応・・・・・・・・・・・・14
(4) 国際的な情報通信の高度化における我が国の責務・・・・・・・・・・・・16

4.産業分野の取組への期待・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
(1) 情報通信に関連した新たな産業の積極的な創出・・・・・・・・・・・・・17
(2) 情報通信におけるルール形成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
(3) 利用者にとって使いやすい機器やソフトウェア等の開発・・・・・・・・・18

参考資料1 図表・・(省略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

参考資料2 高度情報通信社会における我が国情報通信関連分野の展望・・・・47

参考資料3 -高度情報通信社会のある日-・・・・・・・・・・・・・・・・51


1.高度情報通信社会の将来像

 21世紀の到来を目前に控え、豊かな国民生活と自由で活力ある経済社会を実現することが我が国にとっての基本的な課題となっている。その解決に当たっては、これまでの延長線上の対応ではなく、我が国経済社会の枠組み全般にわたる変革によって対応していくことが強く求められており、このような変革の原動力の一つとして情報通信の高度化に対する期待が高まりつつある。現在進展しつつある情報通信の高度化は、以下のような特徴を有し、これまでの情報化とは様相を異にしている。

1) 文字・音声・画像等の多様な情報が、単独であるいは融合して流通する。
2) 不特定多数の利用者間で双方向の情報交換が行われる。
3) 情報が流通するネットワーク同士が接続され、いつでも、どこでも、誰にでも利用可能な開かれたネットワークが形成される。
4) 個々の利用者が必要とする情報が必要とする形で提供される。

 これらの変化は、経済社会を構成する各界各層の広範な参加を促しつつ、需要の拡大に支えられ進展する動きを見せている。情報通信の高度化は、知的生産活動を始めとする著しい生産性向上や新産業の創出など、経済に新しい活力をもたらすばかりでなく、高度な情報通信技術の活用により、時間的・空間的制約を乗り越えることを可能にし、仮想現実(バーチャル・リアリティ)注1 の世界を提供する。このことが、個人と地域、組織、社会との関係や、企業における組織や雇用の形態の変化をもたらし、今後の経済社会の姿をこれまでとは大きく変え、ひいては21世紀への明るい展望を開くものとして大きな期待が寄せられている。
 しかし、一方では、一般国民にとって直接的に実感しにくい領域であるため、このような期待される経済社会の変化が本当に実現するのかという疑念や、個々人がこうした変化に取り残されるのではないか、利便性の高いサービスの実現などの利益の反面でプライバシーの侵害等の不利益を被ることはないか、人間関係が希薄になるのではないか、などという漠然とした不安が国民の間にあることも否めない。このため、情報通信の高度化がもたらす変化についての明確な展望を示すこと等により、国民各層の理解と参加を促進することが強く求められている。
 したがって、本報告においては、情報通信の高度化を通して再構築されることが期待される、21世紀にかけての我が国経済社会について、その特徴を捉えて高度情報通信社会と呼ぶこととし、以下にその具体的な将来像について一般国民、産業分野及び公的部門の各々の観点から検討を行い、高度情報通信社会構築の意義を示すこととする。
 注1)仮想現実とは、コンピュータシミュレーションで作る仮想環境の中に、自分がいるような疑似的体験が得られる技術

(1) 一般国民にとっての高度情報通信社会

 高度情報通信社会の構築によって、国民生活には様々な利便性がもたらされる。まず、日常のコミュニケーションの道具としての電話は、パソコンやFAX等の情報関連機器の機能を合わせ持ち、鮮明な動画像を送受信する家庭用端末になり、相手の表情や図表等を画面で確認しながらの情報交換を可能にする。これにより、保健・健康に関する相談や打合せ等が対面でのコミュニケーションと同様に行われる。また、買物については、自ら移動しての買物に加えて、オンラインショッピングという手段が提供される。例えば、衣類のオンラインショッピングの利用者は、画面上で自ら試着した姿を前後左右から事前に確認してから購入する。さらに、電子新聞等の電子出版物が、紙の出版物に加えて、画像や音声を効果的に組み合わせた形で提供される。この電子出版物は目で読めると同時に耳で聞くことも可能であり、視覚障害者は健常者と全く同質の情報を入手する。つまり、高度情報通信社会の構築により、従来の方法にはなかった長所を有する新たな魅力的なサービスが追加的に提供され、利用者はそれらの多様な選択肢の中から、得失を比較した上で、それぞれにとって最適な方法を採用することになる。
 現在、商用パソコン通信の加入者数が急速に増加しているが、パソコン通信上では、電子会議室やフォーラムなど、同好者が自由に意見交換をできる場が提供され、国境をも越えた仮想的なコミュニティが形成されつつある。従来のコミュニティが、地縁や血縁を核として地理的・社会的条件の中で形成され、無意識のうちに組み込まれているものであったことに対し、これらの仮想的なコミュニティの場合には、自己の選択と責任で参加を決定でき、参加者の意欲と能力次第で主体的な活動が可能となる。
 このように、一般国民にとっての高度情報通信社会構築の意義は、「多様な選択」と 「自由な参加」にあると考えられる。情報通信の高度化を通じ、身体的な障害を持つ人や介護を必要とする家族を持つ人など、就労が困難であった人が在宅勤務という手段で不利を克服し、遠隔地であるがゆえに知的活動のための環境が不十分であった人々が、同好グループの活動への参加機会を得るなど、「多様な選択」と「自由な参加」は、個人的あるいは地域的な格差の縮小を可能にし、社会的弱者や遠隔地の居住者に、新たな可能性を提供する。

(2) 産業分野にとっての高度情報通信社会

 高度情報通信社会の構築は、従来の電話や会議による対面的な情報交換や取引の時間や場所の制約を乗り越えて、世界各地のデータベースへのアクセスや、電子メールを通じた情報の流通などにより、企業活動における時間や立地の制約を今よりはるかに少なくする。さらに、高度な画像処理技術の普及や組織内での情報の共有化が進むこと等が相まって、企業の生産、流通、開発、企画、管理等あらゆる部門において効率化が図られる。
 まず、情報通信の高度化を通じた生産・流通部門に期待される変化としては、生産・調達・運用支援統合情報システム(CALS注2 )や電子データ交換(EDI)が注目を集めている。CALSやEDIが広く実務に利用されることにより、発注者、受注者及び流通担当者等が生産流通情報を共有することになり、部品調達や輸送のさらなる効率化が可能となる。このような情報伝達を効率化する取組が企業内及び企業間の連携協力関係の変化をもたらし、これまでの固定的な企業概念をも変革することにつながる。
 次に、新製品等の開発部門においては、従来の模型を使った検討やコンピュータシミュレーションに加え、仮想現実技術を使って、実際の使い心地や外見の印象などを、利用者が疑似体験した結果を商品のデザイン等に反映することで、魅力的な商品開発の効率化を図る。
 さらに、生産性の計測が困難な企画・管理部門については、意思決定に必要な情報が関係者の間で共有化されること等により、意思決定の迅速化を実現することが可能になる。対立する利害の念入りな調整やコンセンサスを重視する日本型の意思決定システムにおいても、情報の共有化の利点を活用して総意による意思決定を迅速化することにより、企業の企画・管理部門の生産性向上を図ることを手始めに順次組織の効率化が実現されるものと考えられる。
 日本経済に閉塞感がある中で、産業界では事業再構築等による企業経営効率の改善への一層の取組が求められるとともに、今後21世紀を展望すると、少子・高齢社会における労働力人口の減少にも適切に対応しつつ、新規事業の創出等市場機能をいかした競争の下で新たな産業展開に取り組んでいくことが求められている。情報通信の高度化は、これらの課題の解決に資するものである。
 情報通信の高度化による市場の創出について見てみると、企業向けについては、データベースサービスなどの市場が形成されている。一方、一般利用者向けのサービスとしては、商用パソコン通信やFAXの普及などの需要の高まりは見られるものの、新たな市場として急速な展開を見せるまでには至っていない。しかし、今後は、情報通信の高度化を活用した企業向けや家庭向けのサービスが普及し、高度なサービスに必要なコンテンツ注3 に対する需要が増大していく。こうした新しいサービス産業やコンテンツ産業の展開は、大きな雇用の創出につながるものである。
 このように、産業分野にとっての高度情報通信社会構築の意義は、「生産性の向上」と「新産業の創出」にあると考えられる。
注2)CALSの概念自体が変化し発展しつつあることから、現在のところその統一的な定義はなく、日本語訳も確定していないが、情報通信ネットワークを活用し、関係企業間で生産、流通、開発、企画、管理部門等が、デジタル化された多様な情報を共有しながら業務を進めることにより、非効率性の改善、意思決定の迅速化、業務の高度化等を実現するシステムをいう。
注3)コンテンツとは、ネットワーク上を流通する映像、音声、文字等の情報資源をいい、利用者にわかりやすいあるいは使いやすい形で提供されることで、生活、業務、娯楽等に利用される。

(3) 公的部門にとっての高度情報通信社会

 公的部門への国民の期待は、より良いサービスをより少ないコストで提供することにあると考えられる。情報通信の高度化の中で、遠隔操作による手続きや電子媒体での申請が一般化するとともに、各種の資料がネットワーク上でデータベース化され、わかりやすいカラー画像等と組み合せて提供される。このことは、行政改革の推進と相まって、行政の効率化に対する国民の期待に応えることにつながる。
 一方、各種施策の立案や実施には、国民の意見を反映させることが必要である。ここで、公的部門から公開される情報等に基づいて総合的に検討された国民の意見を、電子メール等を活用して広く聴取することにより、国民の主体的な施策の立案への参加が可能になる。また、議会においても、これら国民個々の意見を参考にすることが容易になる。
 このように、公的部門にとっての高度情報通信社会構築の意義は、「国民へのサービスの向上」と「国民に対しより開かれた政府の実現」にあると考えられる。

(4) 高度情報通信社会への転換の意義

 高度情報通信社会が、いつ頃、どのような形で実現されるかについては、今後の技術開発の動向や基盤整備の進展によって、高度情報通信社会の姿自体が高度化し変化していくものであるため、現行の技術水準の延長上の固定的な将来像として捉えるべきものではない。しかし、これまでの情報化が供給者側あるいは技術開発側主導でメニューが提供され、結果として、一般国民の生活レベルには必ずしも順調には浸透しなかったのに対し、現在進みつつある情報通信の高度化は、インターネットへの加入者が爆発的に増えていることなど、利用者が自発的かつ主体的にネットワーク構築に参加していくことで進展しつつある。したがって、高度情報通信社会は、ある時点で突然実現されるのではなく、急速に高まりつつある利用者のニーズに対応していく様々な取組が積み重ねられる結果、構築されていくものであると考えることが妥当であろう。
 こうした情報通信の高度化の過程においては、情報通信サービス等の市場が拡大、多様化し、新規産業や雇用の創出、新たな商品情報や娯楽情報の提供による消費意欲の刺激を通じた需要の拡大が図られる。また、生産性の向上は経済に活力をもたらすのみならず、労働時間の短縮を通じて、ゆとりある生活を実現する。18世紀に導入された生産動力としての蒸気機関は、農村から都市への人口移動とそれを吸収する産業の発展、労働者と資本家という2つの階級の誕生という形で経済社会構造の大きな変化をもたらした。また、大量生産というシステムが完成されたことにより、高級品であった財が一般国民の手の届く範囲まで価格を下げ、消費意欲を刺激することで経済を拡大した。情報通信の高度化は、産業革命がもたらしたこれらの変化に匹敵する、歴史的な変化を全地球的にもたらすとの認識が必要である。このような認識に立って経済社会を構成する各界各層が、情報通信の高度化がもたらすであろう変化に受け身で対応するのではなく、自ら変化を方向付けていくという、広範かつ積極的な取組を行うことによって、高度情報通信社会を構築し、豊かな国民生活と自由で活力のある経済社会の実現を図っていく視点が特に重要である。

2.高度情報通信社会の実現

 最近の情報通信の高度化への期待の高まりは、世界各国においても高度情報通信社会の構築に向けた積極的な取組を促し、我が国でも各部門において取組の具体化が既に図られつつある。また、G7等先進諸国間では、情報通信の高度化を国際協調の下に全地球的に推進していくことが合意されつつあり、このような観点からも我が国は、自らの高度情報通信社会の実現を通じて、積極的な貢献を果していくことが求められている。

(1) 公的部門における取組の現況

 政府は、高度情報通信社会推進本部(本部長 村山富市総理大臣)において、平成7年2月21日に「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」をとりまとめ、政府 としての基本的な方向を示した。基本方針の主な内容は以下のとおりである。

1) 誰もが情報通信の高度化の便益を安心して享受できる社会の実現など7つの行動原則の提示
2) 高度情報通信社会の構築は、公正有効競争の下に基本的には民間主導で進められるべきとし、政府は、広域性への対応、経済的・法制的な側面などのバックアップ、基礎的・先端的な研究開発の推進、基盤整備に対する公的支援等、所要の環境整備を実施
3 )主要地域の光ファイバー網整備と、これを活用した公的アプリケーション注4 の導入、実用化、及び基礎的汎用的技術開発については2000年までを先行整備期間として進め、光ファイバー網については、需要動向等を見ながら、2010年を念頭において早期の全国整備を目指すとの基本的方向の提示
4) 政府自らがユーザーとして先導的役割を果たしていくとともに、行政の情報化、教育・研究・学術・文化・スポーツ分野の情報化、保健・医療・福祉の情報化、道路・交通・車両の情報化、気象・航空管制部門等公共輸送部門の情報化、防災の情報化を推進
5) 諸制度の目的に配意しつつ、書類の電子データによる保存、申告・申請手続の電子化・ペーパーレス化を始めとする諸制度の検討結果を踏まえ、見直しを行い、所要の規制緩和措置を実施するなど、諸課題について情報通信の高度化に必要な施策の取組の基本的な方向の提示
6) 国際的な情報インフラの形成に向けて、共同プロジェクトの実施や情報の適切かつ自由な流通のための環境整備を図るための取組の姿勢の提示

 政府は、行政の情報化を計画的に推進するため、平成6年12月25日に「行政情報化推進基本計画」を閣議決定した。この計画においては、「情報通信技術の成果を財政状況等を勘案しつつ行政のあらゆる分野に積極的に導入し、情報システムの利用を行政の組織活動に不可欠なものとして定着させ、行政内部のコミュニケーションの円滑化、情報の共有化による政策決定の迅速化・高度化等行政運営の質的向上と、国民への情報提供の高度化、行政手続の効率化等の行政サービスの質的向上を図るため、セキュリティの確保等に留意しつつ、『紙』による情報の処理から通信ネットワークを駆使した電子化された情報の処理への移行を実現する」こととしている。
 また、行政分野を除く他の公的部門の情報化については、「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」に基づき、平成7年(1995年)8月に関係省庁において、「教育・学術・文化・スポーツ分野における情報化実施指針」、「研究開発活動の情報化実施指針」、 「保健医療福祉分野における情報化実施指針」、「道路・交通・車両分野における情報化実施指針」、「気象・航空管制部門等公共輸送部門における情報化実施指針」、「防災分野における情報化実施指針」をとりまとめた。今後は、これらの実施指針に基づき、それぞれの分野において情報化を進めるとともに、実施状況についてフォローアップを行い、技術革新や情報通信インフラの整備状況を踏まえつつ、必要に応じて実施指針を改訂していくこととしている。
 また、情報通信の高度化に対応する観点から、現行法体系について、諸制度の目的に配意しつつ、検討を行うため、平成7年(1995年)9月から、高度情報通信社会推進本部の下に制度見直し作業部会を開催し、平成8年度の早い時期にとりまとめを行うべく、検討作業を行っている。
 平成6年10月7日に閣議了解された「公共投資基本計画」においては、「個人のライフスタイルや産業構造の変革等に貢献し、経済社会の諸分野の発展の原動力となる情報通信の高度化について、光ファイバー網の整備をはじめとした民間主体による通信に関連した社会資本の高度化を促進するとともに、必要性を勘案しつつ、行政・教育・医療・福祉・図書館などの公的分野の情報化を進める」こととし、公共投資の配分について「高齢化、高度情報化等により生ずる新たなニーズへの対応に資するものがあり、これらについても重点的、効率的配分を行う」こととしている。
注4)アプリケーションとは、従来は、一般的にアプリケーションソフトウェアを指し、利用者が具体的に特定の仕事を処理できるように作られたソフトウェア注5 をいうが、ここでいうアプリケーションは、その意味をより広くとらえ、利用場面に応じた情報通信の有効な利用方法のことをいう。
注5)ソフトウェアとは、広い意味ではハードウェアを動かすための情報要素をいう。コンピュータを動かすためのプログラムやデータはソフトウェアである。

(2) 民間部門における取組の現況

 現在、企業を中心とした民間部門においては、社内LANの構築や情報関連機器の導入のため、積極的な投資が行われつつある。また、社内の情報の共有化や情報流通の迅速化などを目的として、電子メールシステム等を積極的に導入するとともに、社員に対する情報関連機器操作に関する教育を行うなどの試みもみられる。
 このように民間部門においては、組織を効率化し、国内及び国際的な競争力を確保するため、必然的に情報通信の高度化に取り組まざるを得ない状況にあり、特に、ネットワークを通じた情報流通の重要性を認識しての整備が進みつつある。

(3) 国際的な取組の現況

 平成7年2月に開催された、G7「情報社会に関する関係閣僚会合」においては、世界情報インフラ(GII)の早期実現を目指し、以下の合意がなされた。

1) 「ダイナミックな競争の促進」、「民間投資の奨励」などの8原則
2) 「相互接続性と相互運用性の促進」など6つの政策課題
3) 「電子図書館」など11のパイロット・プロジェクト推進

 これらについては、各国の協調的な取組を求められているものがあり、例えば日本は、電子図書館など4つのパイロット・プロジェクトの進行調整国を務める等、11のパイロット・プロジェクトへの参加を決定し、取組を開始したところである。

(4) 高度情報通信社会に至る道筋

 以上に見たように、高度情報通信社会への扉は、既に開かれており、我が国も世界各国も、その階段を一歩ずつ登り始めたところである。しかし、ヨーロッパ系の言語に比較して漢字を含む日本語処理は複雑で、機械処理が困難であったことから、日本は欧米諸国に比較して公的部門・民間部門のいずれも、パソコンの普及率やローカルエリアネットワーク(LAN)の形成率が低いこと、さらには情報通信の基盤的な技術・サービスの開発の一端を担うベンチャー企業の活動が不十分であることなど、情報通信の高度化への取組で遅れをとっているとの見方もある。このように、国によって階段の何段目まで到達しているかに違いがあり、また、行き先に展望が見えているか、さらに、登る途中にどのような障害があるかなどの差もある。このような状況の下で、以下に示す道筋をたどりながら、我が国における高度情報通信社会の具体的構築が進んでいくものと考えられる。
 表記に漢字を使用する日本語は、現状では、ヨーロッパ系の言語に比較して不利な状況にあると考えられる。また、現在の情報関連機器は、技術の限界等により誰にでも使える操作性を有しておらず、利用者の操作能力に依存せざるを得ない点を残している。しかし、学校における教育や企業における訓練等を通じ、現行の機器でも実際に活用できる層が急速に増えつつある。したがって、長期的には、情報関連機器の操作は社会生活上の基礎的能力となり、技術の進歩と相まって、日本語がおかれた不利な状況が解消するとともに、日本文化の特性をいかしたコンテンツが創作・供給され、情報関連機器の普及状況も欧米と遜色ないものとなる。
 利用者の能力向上と並行して、データ形式の統一など標準化が進むことで、公的部門の電子媒体での届出の受付、インターネット等を通じた公的部門からの情報の入手等の利用環境の充実が図られる。また、通信コストの低減が図られ、情報通信の高度化を想定していない法律・制度・慣行も徐々に改められていく。これらの環境整備に伴い、産業分野から先行的に情報通信の高度化が進展していく。
 産業分野のニーズが高まる一方で、急速な技術革新や関係諸規制の緩和等を含め官民双方の積極的な取組の進展等により、情報通信ビジネスへの新規参入が盛んになり、新たな産業や雇用が創出される。各社のサービス内容やサービス料金については、公正で自由な競争が行われることになり、内容と費用のバランスのとれた良質なサービスを提供する会社が市場を拡大していく。
 一般家庭においては、当面は従来の手段が主体であるが、企業活動や学校教育を通じ、情報関連機器を操作でき、その有用さを認識している層が増えていく一方で、光ファイバー網等の整備を通じ、より高度なアプリケーションの利用が可能になっていくことから、家庭向けのサービスも利用者が増大していく。
 一般家庭における情報通信の高度化は、買物や娯楽分野のサービスから始まると考えられるが、公的部門が情報提供者として参加するなどによる日常生活に関する情報の提供や、医療サービスや家庭向けセキュリティサービスなど、生活に密着した分野の比重が高まっていく。この間、一般の利用者からの要望に基づいて、ハードウェアやソフトウェアの使いやすさの改善、情報の内容自体の改善が進み、潜在的な需要が顕在化することにより、また新たな利用者の参加を呼ぶという良い方向の循環が始まる。最終的には、公的部門からの公開情報、各情報サービス会社によるデータベース、地域に密着した情報をネットワーク上で提供する地域情報室など、多様なサービスが組み合わされて利用者に使いやすい形で提供される。
 このような道筋をたどりながら、ニーズが顕在化した分野から情報通信の高度化の流れが始まり、利用者のニーズと供給者側が提供できるサービスの間の市場を通じた拡大的なフィードバックが繰り返される過程で、高度情報通信社会の具体像が形成されていくものと考えられる。21世紀にかけて、豊かな国民生活と自由で活力ある経済社会の実現を確かなものとしていくためには、諸外国と協調しつつ、既に取組が始められたものも含めた所要の施策の実施を通じ、極力早く高度情報通信社会を構築することが望まれる。

3.高度情報通信社会の構築に当たっての課題と対応策

 高度情報通信社会の構築は、政府の「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」に示された考え方に沿って、公正有効競争の下に基本的には民間主導で進めるべきであり、政府としては、民間主体による通信に関連した社会資本の高度化を促進するとともに、必要性を勘案しつつ公的部門の情報通信の高度化を進める。さらに、技術革新の急速な進展と利用可能性の拡大等に対応し、関係諸規制の緩和等を進めるとともに、法制面の改革、研究開発の推進等、所要の環境整備を行う。

(1) 公的部門が果たすべき役割

 情報通信の高度化の初期において、公的部門は、積極的な情報通信の高度化への取組、ハードウェア及びソフトウェアの調達等による需要喚起、円滑な情報流通のための標準化等により、先導的な役割を果たすことが期待されている。

1) 公的部門の情報通信の高度化に向けた取組
 公的部門は、「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」及びこれを受けて各省庁が策定した実施指針に基づき、公的部門自らが利用者として、庁舎内や庁舎間LANの整備など公的部門におけるネットワークの整備を行うとともに、公的アプリケーションの開発・導入等の施策を講じる。特に、行政の情報化については、「行政情報化推進基本計画」に基づき、行政の質の高度化と国民サービスの質的向上を目指して、行政情報の広範な電子化等の施策を推進する。また、国民の意見を広く聴取するとともに、白書や各種統計等の提供など、公的部門からの情報発信を進めるため、電子メール等新たな手段を活用する。
 公的部門の情報通信の高度化には、ハードウェアの整備のみならず、運営のための人材やソフトウェアが必要な場合が少なくない。そのため、「公共投資基本計画」の考え方に沿って公的部門の情報通信の高度化に必要な社会資本の整備を進めることとし、その際、高度情報通信社会の構築において不可欠な、人材の育成や使いやすい魅力あるソフトウェアの整備が極めて重要であることにかんがみ、その確保についても適切に配意する。
2) 情報通信の標準化
 高度情報通信社会の構築においては、ネットワークにおける相互運用性・相互接続性の確保が重要である。そのため、国際的な標準化の動向を踏まえ、利用者の利便性の向上を重視しつつ、公的標準の一層の普及と実施を推進するとともに、データの形式や接続手順等について、公的部門自らの標準化により、CALSやEDIの促進など社会全体への波及を図る。
3) 地方経済の振興やコミュニティの活性化
 地方経済の振興やコミュニティの活性化のため、地方の主体性を発揮した特色ある取組を推進することが課題となっている。高度情報通信社会の構築により、知的生産活動の立地上の制約が小さくなり、企画・管理部門や研究部門の地方展開など地方経済の振興が図られるとともに、従来の地理的制約を超えた交流を通じ、コミュニティの活性化が図られると期待される。そのため、国土の均衡ある発展を達成する観点を踏まえ、既存の施策と連携するとともに、相互接続性を確保しつつ、地方公共団体間及び国と地方公共団体との間のネットワークの構築等の情報通信インフラの整備を推進する。また、地域に密着した情報サービスを提供するとともに、地方からの情報発信を行う拠点の整備を支援する。

(2) 制度・慣行等の改革

 高度に発展した情報通信技術が有効かつ円滑に利用され、国民全体がその豊かな成果を享受できるような環境・秩序づくりを目指す。

1) 情報通信の高度化のための諸制度の見直し
 高度情報通信社会の構築に当たっては、産業分野の積極的な参加が必要である。情報通信分野の規制緩和については、既に積極的な取組が進められているところであるが、引き続き競争条件の整備と競争の促進、通信コストの低減、利用者のニーズに合った多様なサービスの提供等のため、今後「規制緩和推進計画」に盛り込まれた措置を着実に実施するとともに、順次計画の見直し・改定を行う。
 また、ネットワークの広帯域化、双方向化、デジタル化により進展しつつある通信と放送の融合について、新産業の創出、消費者保護等の観点から、早急かつ積極的に検討を進める。
 さらに、現在の制度や慣行には、紙による記録の保存や本人出頭の義務付けなど、情報通信の高度化を想定していないものがあり、その障害となる事例が生じている。これらの障害を除去することは、産業分野や家庭において、情報通信を活用するための機器やソフトウェア等を導入するためのインセンティブとなり、情報通信の高度化を加速する要因となる。そして、そのことがより使いやすい機器やソフトウェア等の開発につながるなど、さらに大きな波及効果をもたらすことになる。諸制度の見直しのためには、プライバシーに係る情報の暗号化など、新たな技術の開発や仕組みづくりを要するものもあり、技術開発の状況等を勘案しつつ、多面的に検討することが必要である。諸制度の見直しについては、その目的に配意しつつ検討を行い、その結果を踏まえて見直しを進め、電子化された情報の処理への早期の移行を目指す。まずは、書類の電子データによる保存及び申告・申請手続の電子化・ペーパーレス化について、高度情報通信社会推進本部制度見直し作業部会等において検討を行い、その結果を得次第、これを踏まえ、所要の規制緩和措置を講じる。
2) 著作権等の在り方に関する検討
 高度情報通信社会の構築のためには、新しい魅力あるコンテンツが積極的に創作・供給される環境及びコンテンツを適切かつ円滑に利用することができる環境の実現が極めて重要である。すなわち、著作権等の適切な保護を図り、コンテンツの創作活動へのインセンティブを維持し、さらに向上させるとともに、権利処理体制の整備を図り、大量かつ多様な著作物等の利用の進展に対応する必要がある。このような観点から、著作権等の保護と利用の円滑化のための仕組みを含め、著作権等の在り方について早急に検討を進める。
3) プライバシーの適正な保護
 高度情報通信社会においては、個人情報の流通・蓄積が容易になりプライバシーが侵害される可能性が増加すると考えられるため、民間事業者等における個人情報の管理の適正化について、高度情報通信社会への移行の状況を勘案しつつ、法制度上の対応を検討するなど、プライバシーの適正な保護を図る。
4) 情報通信システムに係る不正行為への対応
 情報の流通や処理に関しては、様々な段階でデータの改ざん・破壊や窃盗等の不正な行為が発生するおそれがあるほか、現在想定されていない不正行為の発生も考えられるので、これらの変化に対応した適切な法制度の整備等のセキュリティ対策を進める。
5) 情報通信において個人が理解すべき基本的なルールの遵守
 情報の流通が容易になり、特定の情報が多数の人々に共有されるようになることに伴い、名誉棄損、プライバシーの侵害等に当たる情報の流通や公序良俗に反する情報の頒布・取引等が増加することが考えられる。そのため、表現の自由等との調整に留意しつつ、法制度の整備等の対応を図るとともに、学校教育等においても高度情報通信社会におけるルール遵守を徹底させるよう取り組む。

(3) 経済社会に求められる情報通信の高度化への対応

 情報通信の高度化の推進に必要な経済社会の基盤を整備するため、多面的な取組を行う。

1) 普及のための通信コスト低減
 高度情報通信社会の構築に当たり、自発的な参加の促進には通信コストの与える影響が大きい。したがって、情報通信の高度化を促進し、大量で多様な情報を流通させるネットワークの全国的な普及を図るため、企業に対し事業展開のインセンティブとなり、また、一般家庭にとっても無理なく負担できるような水準を目指して通信料金の低減を図る必要がある。
 昭和60年(1985年)4月の規制緩和以降の新規通信事業者の参入は、市外通話料金や国際電話料金の大幅な低下をもたらしたが、情報通信の高度化への取組が進展している米英の料金と我が国の料金を通話時間に応じて課金する一般的な料金体系で比較した場合、我が国の市内通話料金はおおむね同程度又は割安であるものの、長距離通話料金は依然としておおむね割高となっている。今後、「規制緩和推進計画」を着実に実施するとともに、公正かつ有効な競争条件の整備を徹底することで競争を活発化し、より一層の通信料金の低廉化を図っていく。また、将来的には高い頻度で情報の受発信をする企業や家庭の増加が想定されることから、定額制も視野に入れるなど、利用者が利用しやすく、サービスを提供する民間企業の創意工夫がいかされる、需要喚起型の料金体系の実現を図る。
2) 情報通信インフラの整備
 光ファイバーや衛星通信を始めとするネットワークインフラの民間主体の整備とそれに対する公的な支援など、適切な官民の分担によるハードウェア、ソフトウェアを含めた情報通信インフラの整備を計画的に推進する。また、公的部門におけるアプリケーションの調達に当たっては、利用者の要望を的確に反映した仕様を公的部門が提示し、これに基づく民間の自由で公正な競争を通じて、民間部門のソフトウェア開発のノウハウを活用することで、効率的な情報通信インフラの整備を促進する。
3) 高度情報通信社会を支える人材育成
 今後の社会においては、国際的なコミュニケーション能力に加えて、情報の入手・加工・発信に関する基礎的な能力を身に付けることが求められており、初等中等教育を始めとして、学校教育においても積極的な取組を進める必要がある。このため、学校における情報関連機器、ソフトウェアの整備を図るとともに、外部の専門知識を有する者の協力も得ながら、教員のコンピュータの活用に関する基礎的な知識・技術の修得等を図るほか、コンピュータをネットワークの一環として利用するための環境整備を図る。また、公共職業能力開発施設等においても、職業能力として情報通信の高度化に対応できる基礎的能力を身に付けた人材の育成にも取り組む。
 さらに、高度情報通信社会の発展を支えるハードウェア整備やソフトウェア開発のための専門的かつ創造的な人材育成を推進する。
4) 根幹的な技術開発の推進
 新しいサービスの提供を促進するため、さらには世界全体の課題を解決していく観点から、光交換機等の根幹的な技術開発への積極的な取組が重要であり、政府においては、基礎的・先端的な研究開発を推進する。そのため、情報通信の高度化のための基礎技術を含めて知的資本を総合的計画的に整備することとし、税制・出融資制度を活用して民間による技術開発等の支援を進める。
5) 情報通信の高度化に対応できない人々に向けた対策
 情報通信の高度化の初期段階においては、変化に十分対応できない人々が社会生活上不利になると懸念されているところである。このため、民間の競争の下に誰にでも利用しやすい機器やソフトウェアの開発が期待される一方、公的機関における諸手続きや情報提供等に関しては、情報通信を活用した手段に急激に移行することなく、当分の間、従来の方法と新しい方法の提供とを併存させることとする。特に身体障害者向けの機器については、民間部門のみで開発に当たることは採算的に問題があるため、公的部門は民間部門と協力して開発に当たる。
6) 災害等によるシステムダウンへの対応
 高度情報通信社会においては、地震等の災害により情報通信システムが停止した場合には多大な被害が発生すると予想され、また、特に災害時においては公的機関等による迅速な救助、復旧等の対応のため情報の迅速な伝達手段の確保が必要である。このため、災害に対応する公的機関の独自通信ルートの確保を含め、通信ネットワークの多重化及び地中化、無線系ネットワークの活用、情報通信システムのバックアップセンターの整備、電源のバックアップ等を推進する。
7) 企業形態の変化と雇用への影響
 今後、必要な労働力の確保や人々の社会参加の促進という観点から、高度な情報通信技術を利用して、在宅勤務やサテライトオフィスといったテレワークやテレオフィスが普及していくと予想される。また、現在進みつつある産業構造の転換の流れや、企業が情報通信の高度化を利用して効率化を図る過程においては、各企業内における組織の変革の進展や雇用需要の減少が考えられる一方、情報通信を核とした新たな産業や雇用の創出も期待されており、新たな産業分野への展開の支援と産業・業種間の労働力の円滑な移動が必要となる。このため、諸外国の成功例も参考にしながら、ベンチャー企業など、創業・発展期の企業に対するインセンティブとなるよう公的な支援を行う。また、職業紹介システムの強化等を図るとともに、あらゆる分野の労働者が情報通信の高度化に対応できるよう、職業訓練等により職業能力の開発・向上に努める。テレワークやテレオフィスについては、良好かつ多様な雇用機会の創出につながるよう必要な条件整備を図る。

(4) 国際的な情報通信の高度化における我が国の責務

 我が国に関する情報は、経済社会の一層の国際化の進展により、諸外国における需要が高まっているものの、その入手は必ずしも容易ではないのが現状である。グローバルな高度情報通信社会の構築のためには、バランスのとれた情報の受信と発信を進めることが重要であり、公的機関を始めとして、英語等の外国語での利用者を意識しつつ、積極的な情報発信に取り組む。また、GII構想等の動きを踏まえ、ハードウェア、ソフトウェア両面の技術開発、著作権やセキュリティ等制度面での国際調和への対応などに関し積極的な貢献を行う。
 さらに、先進国のみならず開発途上国においても情報通信の高度化が進展することが重要であり、開発途上国におけるそれぞれのニーズに応じ、資金・技術両面にわたる協力を行う。特に、アジア地域については、地域の一員としての視点に立って積極的に協力するとともに、開発途上国それぞれに関する情報が世界に向けて十分に発信されるよう我が国においても取組を行う。

4.産業分野の取組への期待

 高度情報通信社会は、経済社会を構成する各界各層が広範かつ積極的な取組を行うことによって構築されていくものと考えられ、中でも産業分野の果たす役割は大きい。サービスやネットワークの提供者が、利用者の具体的なニーズを的確に捉え、事業化を図ることにより、情報通信に関連した市場を発展させ、真のゆとりと豊かさの実感できる国民生活の実現に貢献することが期待される。

(1) 情報通信に関連した新たな産業の積極的な創出

 競争原理の下に民間主導で高度情報通信社会を構築するに当たっては、先導的な研究開発の成果の活用と利用者のニーズの的確な把握によって、新たな産業が創出されていくことが期待される。例えば、自動車、住宅設備等の購入希望者に対する仮想現実を活用した詳細かつ実感として分かりやすい商品情報の提供や、様々な施設整備、街並みづくり等に関し、公的部門における利用も想定される将来予想図の提供などといった多種多様な産業の発展が予想される。また、本格的な高齢化を間近に控え、高齢者や身体障害者を中心として高度情報通信社会への移行に十分対応できない人々のため情報の入手・発信の手助けをするサービス業や、そのための人材育成業等への事業展開が期待される。こうした新産業の創出については、国民の間に潜在する高度かつ多様なニーズに鋭敏に反応できる起業家精神に富んだベンチャー企業の担うべき役割への期待が大きい。情報通信分野においてだけでなく、関連する幅広い分野において新産業が積極的に創出されることにより、我が国経済を活性化し広範に雇用を生み出すとともに、全ての国民に豊かな生活をもたらすことにつながると考えられる。

(2) 情報通信におけるルール形成

 情報通信の高度化の過程においては、プライバシーの侵害、虚偽情報の発信、他人の中傷、公序良俗に反する情報の流通等の問題が生じることが考えられる。情報通信の健全な発展と育成を考えた場合、法制度等による対応を待つのではなく、各業界で自主的なルールを設定し、それが利用者に合意されるような環境づくりを進めることが期待される。なお、ルール違反者に対しては、ネットワークの利用禁止やネットワークからの除名等の措置がとられることがあるが、それに対する不服申立や救済についても配慮しておく必要がある。

(3) 利用者にとって使いやすい機器やソフトウェア等の開発

 高度な情報通信システムの利用者の増大を図るため、機器やソフトウェアを提供する企業が利用者のニーズを的確に把握しつつ競争的な取組を行うことにより、利用者にとって使いやすく廉価な機器やソフトウェア等を開発するとともに、製品開発等を支える根幹的な理論・技術の研究開発に積極的に取り組むことが期待される。

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