設立趣意書
1.趣旨
持続可能な発展や市民の安全・安心を脅かす様々な課題に対応するには,適切な法令の整備を前提としながらも,社会を構成する様々な主体がそれぞれの役割を果たすことが不可欠である。中でも企業や行政などの組織は,その影響力に応じた社会的責任を果たしていかねばならない。
しかし現実には,どの主体も単独では十分な役割を果たせない。環境にやさしいモノづくりを例に取れば,これを支えているのは従業員一人ひとりの発想や努力であり,経営者は誰もがやりがいと誇りをもって能力を発揮できる職場環境を整備する必要がある。しかし,企業がこうしたモノづくりに継続的に取り組むには,その商品を評価して積極的に購入する消費者や,資金を供給する投資家の存在がなくてはならないし,さらにその前提には,適切な企業情報の開示や,活発な市民活動による新しいライフスタイルの普及が必要となる。
安全・安心で持続可能な社会を実現するためには,多様な主体が補完し合うことで,それぞれが役割を発揮しやすい環境を作り出すことが不可欠なのである。
そこで,我々は,政府だけでは解決できない社会的課題に対して,広範な主体が協働して自ら解決に当たるための新たな“公”の枠組み(マルチステークホルダー・プロセス)として,「安全・安心で持続可能な未来に向けた社会的責任に関する円卓会議」(以下,「円卓会議」という。)を設立する。
円卓会議は,安全・安心で持続可能な社会の実現に向け,広範な主体の協働を推進するとともに,組織の社会的責任を促進する環境を整備することを目的とし,その達成手段として,各主体の総合的な行動計画となる「安全・安心で持続可能な未来への協働戦略」(以下、「協働戦略」という。)を策定する。また,PDCA の観点から協働戦略の進捗状況を把握するとともに,定期的に改訂を行う。
2.円卓会議への参加
円卓会議は,原則として,事業者団体,消費者団体,労働組合,金融セクター,NPO・NGO,専門家,行政などの各グループが自ら選んだ委員によって組織する。各グループは,それぞれの状況に応じ,可能な限り透明で開かれた公正な過程を経て委員候補を選出するものとする。
なお,通常の審議会等と異なり,円卓会議において政府は,他の主体とともに一角を占める参加者の一つに位置付けられる。政府は,特に,社会を構成する主体の一つとして,事業活動を通じ自らの社会的責任に率先して取り組むとともに,他の主体の自主的な取組を促進する環境整備を推進する。
3.円卓会議の機構・運営等
円卓会議は,主体間の高次のコンセンサスと審議の専門性を両立するため,総会と部会の二部構成を基本とする。また,各主体の実務担当が共同で運営を担う運営委員会を設置する。
なお,円卓会議の機構・運営等の詳細は、総会の定める規約に基づいて行われるものとする。
平成21年3月19日