平成3年

年次世界経済報告 資料編

経済企画庁


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II 1990~91年の主要国の政策動向

第17章 国際金融

主要国の金融政策は,91年を通じてそれぞれの景気局面の相違を反映して,必ずしも同一方向には運営されなかった(図1参照)。アメリカは,景気の低迷が続くなか金融緩和を続け,日本も7月以降,徐々に緩和を進めている。方ドイツは,インフレ圧力の高まりへの対応等から金融を引き締め,利上げを行った。

91年6月,10月のG7(7か国蔵相・中央銀行総裁会議)においては,こうした各国の金融政策スタンスを反映して,各国が国内重視の金融政策を採ることを認めており,中期的に実質金利の低下を目指すことがうたわれていた(表2参照)。

主要通貨の為替レートの推移をみると(図2参照),米ドルは1月には湾岸における武力衝突に対する懸念が高まるなかで上昇した。その後,年央にかけてはアメリカの景気の立直り感を背景に強含みで推移したものの,7月以降,相次ぐ金融緩和にもかかわらず景気回復テンポの鈍さが次第に鮮明となるなかで弱含み推移となった。一方ドイツ・マルクは,年央にかけてソ連情勢の悪化,旧東独地域の経済不振の持続等を背景に下落したものの,年央以降はアメリカの景気回復テンポの鈍さや金融引き締めによるアメリカ,日本との金利差の拡大を背景に強含み推移となっている。また日本円は,年央にかけてやや弱含んだものの,景気の底堅さを背景に,下落幅は比較的小幅なものにとどまった。年央以降は,アメリカの景気の回復力の弱さや経常収支黒字の拡大傾向を反映して強含み推移となっている。

(表1)国際金融関連日誌


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