平成3年

年次世界経済報告 資料編

経済企画庁


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I 世界経済白書本編(要旨)

第3章 世界の資金循環の変化

90年以降,三大国(米,日,独)の経常収支の不均衡は総じて縮小しているが,アジア,中近東の経常収支赤字は拡大している。中南米,ソ連・東欧では,民間資金が自律的に流入しないため,輸入を削滅し,経常収支の悪化を抑えている。こうしたなか,世界のマネー・フローをみると,中南米などの途上国から先進国に資金が流れるとともに,先進国間では,アメリカからECに資金の流れがシフトしつつある。さらに,日本が海外へ運用している資金と海外から取り入れている資金がともに減少するなど,世界の資金フローが量的に縮小している。今後,アメリカなど先進国景気の回復,東独地域の再建,中東の戦後復興,ソ連・東欧への支援など,資金需要が高まることが予想されるなかで,世界的な資金不足と高金利の出現が懸念されている。

本章では,主要国の経常収支と資本収支の動向を見た後,世界の資金フローの最近の特徴を概観する。次に,今後の世界の資金需給を展望し,政策的対応の必要性を指摘する。


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