平成2年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1989~90年の主要国経済

第8章 ソ  連

7. 経済見通し

90年のソ連経済が混迷の度を深めていることから,91年の経済に対する見通しも厳しいものとなっている。ソ連政府は1月央,91年の経済について,GNP約1%減(対90年実績見通し),国民所得1.1%減(同)とする見通しを示している。

一方,国連の欧州経済委員会(ECE)は90年11月,同年のソ連の生産国民所得(NMP)の成長率見込みをマイナス4.5%とした上で,91年はゼロ成長との見通しを示している。

90年7月のヒューストン・サミットでの合意に基づき,IMF,世界銀行,欧州復興開発銀行,OECDによるソ連経済に関する報告書が12月22日に公表されたが,91年のソ連経済についてはインフレ率が前年比40%以上の上昇,生産国民所得は同5%以上の減少を示すとしている。なお,同報告書はソ連経済の実態について,ゴルバチョフ政権下のペレストロイカによって計画経済の見直しが行われているが,生産が落ち込むなど市場経済の基本的機能が全く働いていないと分析し,国内の政治的混迷を打開するためにも早急な全面的経済改革実施の必要性を強調している。そして,先進7か国と国際機関は当面,追加的資金援助よりも,技術援助や人材育成などの側面支援を目指すべきだと提言している。


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