平成2年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1989~90年の主要国経済
第6章 イタリア:景気はやや減速へ
貿易動向をみると,89年は輸出(FOB)が192.3兆リラ(前年比16.1%増),輸入(CIF)が209.6兆リラ(前年比16.7%増)となり前年に引き続き輸出入とも前年比2けたの伸びとなったが,貿易収支は17.3兆リラの赤字となり,88年の14兆リラからさらに拡大した(第6-4図)。90年に入ると,年初は輸出入ともほぼ堅調だったものの内需の鈍化を背景に輸入が鈍化し,年半ばには輸出も鈍化している。輸出は1~3月期前期比4.8%増,4~6月期同2.5%増,7~9月期同7.4%減となり,輸入は1~3月期前期比4.3%増の後,4~6月期同2.8%減,7~9月期同4.6%減となっている。輸入の伸び悩みから貿易最支の赤字は前年に比べ減少しているものの依然大幅な赤字となっている(90年1~9月期8.2兆リラ,前年同期13.1兆リラ)。
地域別の貿易動向をみるとまず輸出はこのところ対日輸出がめざましい伸びをみせており,89年には33%増となり,品目では日本でのイタリアブームにより,自動車をはじめ食料,衣料品等が伸びている(第6-3表)。また対ECへの輸出はシェアとして50%以上を占めているものの,87年の大幅増加以降伸びを鈍化させており,89年には前年比8%増となっている。対EC輸出のうち約60%を占める対ドイツ,フランス輸出も同様に伸びを鈍化させている。90年に入ると対EC輸出の伸びは再び高まっている。一方輸入は飛躍的に増加を続けていた対日輸入が,89年は一服し,大幅に伸びを低めたほか,その他先進国からの輸入も総じて伸びが鈍化している。全輸入にしめる地域別シェアもアフリカ,中東等の石油産出国で増加しており,景気の拡大に伴いこれらの国からのエネルギー輸入が増加したものと思われる。
品目別の貿易動向をみると89年に輸出が伸びたものは,金属機械,自動車等輸送機械等であり,輸入ではエネルギー製品,輸送機械等であった。90年1~8月でみると輸出は全般的に伸びを低め,化学品等では前年同期比減となっている。また輸入もエネルギー製品をはじめとして,伸びを鈍化させ,農林水産品,金属鉱物等は前年同期比マイナスとなっている。