平成2年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1989～90年の主要国経済
第2章 カナダ：マイナス成長,2四半期続く
90年のカナダ経済は消費,設備投資等内需の低迷から経済は大きく鈍化するものとみられる。①実質GDP成長率は90年は1％台となり,景気の回復がみられるのは91年半ば以降とみられている。②個人消費は90年に実質GDP同様1％台の伸びになると見られるが,年半ば以降の金利の低下と,91年1月より実施される消費税による駆け込み需要がややプラス要因とみられる。91年も急激な回復はないと思われる。③民間設備投資は企業収益の大幅悪化,企業倒産件数の増加から低い伸びにとどまるとみられる。④雇用情勢は90年半ば以降悪化し製造業の回復も年内には期待できないことから,失業率も8％程度に高まるとみられる。⑤物価上昇率は90年半ば以降のエネルギー価格の上昇から一時的に高まったものの,カナダドルが堅調なこともあり,比較的落ち着いた動きとなろも。⑥経常収支赤字は90年半ば以降の金利の低下及び貿易黒字の拡大が赤字縮小要因に働くため,依然大幅ではあるもののやや縮小するとみられる。