平成元年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1988~89年の主要国経済
第10章 中国:中国経済は厳しい情勢へ
中国経済は生産と消費の鈍化により厳しい情勢に直面している。88年後半からの経済調整策とともに89年6月の北京等における混乱以後の経済調整策の徹底化は,物価高騰をやや抑えることに成功したが,生産の停滞,消費の鈍化を招いている。
89年の実質国民総生産の成長率は,前年比4(88年前年比11.0,87年同10.8)と88年後半以降の経済調整策の実施の影響から鈍化した。89年10月には1970年代後半の経済改革実施後はじめて工業生産総額が前年比2.1減とマイナスとなった。7~9月期前年同期比5.4増,10~12月期同0.7増と鈍化している。物価上昇率は,89年に入って鈍化しているものの,労働者の実質所得は低下している(第10-1表)。