平成元年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1988~89年の主要国経済

第5章 フランス:内需を中心に景気拡大続く

7. 経済見通し

フランス政府経済見通し(89年9月発表)によれば,90年の実質GDPは,89年の3.5%からはやや伸びが低下するものの,3.0%とフランスとしては比較的高い伸びが続くとしている(第5-7表)。個人消費は,本年と同様の2.5%の伸びを見込んでいる。設備投資は,90年も89年の7.1%からは若干低下するものの,6.5%増と高い伸びが続くとしており,内需の中心となる模様である。貿易面では,輸出が6.3%増となる一方,輸入も5.7%増といずれも89年に比しやや鈍化するとしている。この結果貿易収支は,89年400億フランの赤字と赤字幅を大幅に拡大した後,90年は350億フランの赤字と高水準ながら若干の改善を見込んでいる。消費者物価上昇率は,89年3.2%の後,90年は2.5%へ落ち着くとしている。

ECの見通し(9月発表)によれば,90年のGDP成長率,個人消費,設備投資については,フランス政府見通しとほぼ同様である。貿易面では,輸出は7.0%増,輸入は6.8%増と高めの伸びを予測,物価も2.7%とやや高めを予測している。雇用情勢については,経済の拡大を背景に若干改善し,失業率は,89年9.5%の後,90年も9.1%となるとしている。

OECDの見通し(12月発表)では,90年のGDPは3.1%としており,フランス政府見通しとほぼ同様である。個人消費は89年より伸びを高め3.0%,総固定資本形成は89年に比し若干伸びを弱め,4.7%となるとしている。貿易面では,輸出入とも90年はやや鈍化するとしている。消費者物価上昇率は,2.9%とフランス政府見通しに比べ高めを予測し,失業率は,89年から目立った改善はみられないとしている。

IMFの見通し(10月発表)では,90年のGDPは3.3%と政府に比べやや高めを予測している。個人消費は今年同様の伸びとし,総固定資本形成は今年よりやや伸びを弱め,5.5%となるとしている。貿易面では,輸出入とも90年はやや鈍化し,輸出は6.9%増,輸入は5.7%増となるとしている。消費者物価上昇率は,2.7%と落ち着きを取り戻すものの,失業率は9.9%と改善はみられず,高水準が続くとしている。


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