平成元年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1988~89年の主要国経済

第5章 フランス:内需を中心に景気拡大続く

1. 概  観

89年のフランス経済は,設備投資及び個人消費を中心として,引き続き拡大を続けている。この間の外需の動きをみると,年初,暖冬等によるエネルギー需要減,航空機輸出の好調等もあり,寄与度が大幅なプラスとなったが,4~6月期以降は,乗用車等を中心に輸出の増加はあったものの,設備投資の好調に伴う資本財の輸入が大幅に増加し,マイナスの寄与度となった(第5-1図)。

消費者物価は,工業品,食料品部門を中心に,年初より緩やかな高まりを示していたが,5月に頭を打ち,食料品部門が依然上昇傾向にあるものの,総じてみれば概ね落ち着いた動きとなっている。雇用情勢は,経済の拡大が続くなか,サービス業を中心に工業,建築等全般的な雇用の増加がみられ,失業率は緩やかながら低下してきているが,その水準は依然として高く厳しい状況にある。こうしたこともあり,政府は引き続き雇用対策を実施している。貿易収支は,設備投資の好調な伸びを背景に,資本財,中間財輸入が増加しており,88年を大幅に上回るペースで,赤字が続いている。

財政面では,9月中旬1990年度予算案が閣議決定された。その内容をみると,引き続き,インフレ抑制,財政均衡を主目標として緊縮方針が貫かれ,歳出の伸びは,前年度当初予算比5.3%増と抑え気味である。歳入の伸びは景気拡大を前提に同6.8%増としており,この結果,財政赤字は同103億フラン圧縮され,902億フランとなるとしている。金融政策は88年後半から引き締めに転じている。


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