平成元年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1988~89年の主要国経済

第2章 カナダ:89年に入り,経済拡大はやや減速

7. 経済見通し

90年のカナダ経済は,内需の鈍化により,インフレ圧力も弱まり,金利も低下するとみられる(第2-5表)。①実質GDP成長率は,国内最終需要の鈍化により,緩やかなものとなるが,89年は3%となり,89-90年平均では2%程度になると思われる。②個人消費は,個人可処分所得の伸びがやや低くなるため,緩やかになると見込まれる。③民間設備投資は,企業利益の縮小と,金利コストの上昇から,伸びを弱めるが,引き続き経済の拡大の牽引役となると予想される。④雇用情勢の改善は鈍化し,失業率も,90年半ばに向かって上昇するとみられる。⑤消費者物価上昇率は,連邦売上税率の引き上げから,89年半ば,90年初と2段階にわたって上昇するが,内需の鈍化が稼働率を下げ,労働需給も緩和されることから,4%超程度となろう。⑥経常収支赤字は,依然大きいものの,89年後半からの,耐久財消費の減少と,機械設備財需要の減少による,輸入の鈍化から,縮小すると思われる。


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