平成元年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1988~89年の主要国経済

第1章 アメリカ:軟着陸に向かう

7. 経済見通し

アメリカ経済は,個人消費の伸びの鈍化から減速しているものの,堅調な設備投資,改善傾向にある純輸出に牽引された拡大が続いている。90年のアメリカ経済については,89年に比較して,個人消費の伸びがさらに鈍化すること等から,成長率は低下するものの,89年央からの金融緩和の効果が徐々に表れてくるとみられることから,2%前後の緩やかな成長が見込まれている(第1-9表)。失業率は89年の水準よりやや上昇し,物価上昇率は低下するものと見込まれている。このようにアメリカ経済は軟着陸に向かっていると言えよう。アメリカの潜在成長率は,政府は3.2%と高くみており,OECDは2.75%,IMFは2.8%とみている(第1-10表)。FRBの見通しは,この潜在成長率を2.5%程度とより厳しくみているといえよう。

アメリカ経済にとってもこのような軟着陸の傾向を持続し,貿易収支赤字・経常収支赤字を縮小させつつインフレなき持続的成長を達成するためには,内需の抑制,財政赤字の削減,貯蓄率の引上げが最も重要となっている。貿易赤字縮小のための国際競争力の強化や輸出余力の拡大等の観点から,今後とも民間設備投資のある程度の伸びを確保する必要があるため,内需の抑制については個人消費,政府支出を抑制することが必要である。


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