昭和63年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1987~88年の主要国経済
第10章 中国:89年以降は経済過熱調整
中国では,84,85年の経済改革開始以来,賃金・投資の急増が続いており,消費も活発となっている。需要が旺盛となるなかで生産も拡大し,88年の鉱工業生産は実質で前年比17.7%増と,計画の8%を大きく上回る伸びとなった。
しかし,鉱工業生産全体の伸びに対してエネルギー,原材料,輸送力が追いつかない状態となっており,国内でひっ迫している原材料の輸入が急増し,貿易収支赤字は拡大傾向となった。これに対して88年9月には貸出金利が引き上げられるなど,生産過熱に対する抑制策が採られた。
また,賃金・投資の急増は,財政赤字を通じて通貨供給量を増大させ,物価上昇の要因ともなっている-(物価上昇率,87年前年比7.3%,88年同18.5%)。89年には,物価上昇率を88年より低くすることが目標とされており,銀行融資規制,財政による引き締め,投資規模の圧縮などの政策が現在進められている(第10-1表)。