昭和63年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1987~88年の主要国経済

第6章 イタリア:力強さ増す景気拡大

6. 経済政策

イタリアの財政赤字は先進諸国の中でも際立って大きく,深刻な問題となっている。ここ数年間でも増加し続けており,88年実績見込みで116兆リラ(対GDP比10.9%)に達している。政府は,とうした巨額の財政赤字に対処するため,5月24日,歳出削減や増税等により,①財政赤字を,87年の114兆リラ(対GDP比11.6%)から92年には83兆リラ(同6.1%)まで縮小する,②公共部門の経常赤字(国債費を除く)の解消を92年末までに図る(87年の34兆リラの赤字から92年には6兆リラの黒字へ転換),等を目的とする「財政再建5が年計画」を議会に提出するとともに,議会修正で赤字額の拡大(赤字見込額122兆リラ)した88年予算についても,電力料金引き上げや公共事業費の見直し等による赤字削減策を講ずる(削減後の赤字見込額116兆リラ)こととして,同日,緊急政令を発布した。「財政再建5か年計画」に盛り込まれた財政赤字削減措置としては,①付加価値税率,所得税率の見直し,②国有財産の売却,③自営業者,法人を中心とする脱税摘発の強化,④年金不正受給の摘発の強化,⑤医療補助金の削減,⑥地方交通に対する補助金の削減,⑦官公庁の統廃合,等となっている(付注6-1)。

89年度(1~12月)予算案も,「財政再建5か年計画」の初年度予算として,歳入を約10兆リラ増加,歳出を約13兆リラ削減させ,財政赤字を5117.35兆リラ(対GDP比10.2%)以下に抑えるといった緊縮型予算となっている(付注6-2)。


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