昭和63年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1987~88年の主要国経済

第6章 イタリア:力強さ増す景気拡大

1. 概  観

イタリアでは,83年半ばに景気回復に転じて以来,内需を中心として好調な成長を続けている。84,85年は設備投資,86年は個人消費が成長の牽引力となったが,87年は,個人消費が引き続き高い伸びを示したことに加え,それまで低迷していた設備投資も大幅増となるなど,内需は消費・投資両面ともに好調であった。そして88年に入ると,内需が依然好調なうえに,外需も上半期には増加寄与度がプラスに転ずるなど,景気拡大の力強さがさらに増している。

こうした中,消費者物価上昇率は,87年前年比4.6%,83年1~10月前年同期比4.9%と落ち着きをみせている。しかし経常収支は,86年に大幅な改善をみせたものの,87年以降は,輸入の急増もあって再び悪化傾向をたどっている。

また,財政赤字は,緊縮政策がとられているものの,改善は進んでおらず,対GDP比財政赤字は依然2桁の高い水準(88年実績見込み10.9%)となっている。そのため,政府は「財政再建5か年計画」を策定した。また,雇用情勢も,景気拡大にもかかわらず依然厳しい状況となっている。


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