昭和63年
年次世界経済報告 各国編
経済企画庁
I 1987~88年の主要国経済
第5章 フランス:内需を中心に景気拡大続く
フランス政府経済見通し(88年9月発表)によれば,89年の実質GDPは,88年の3.1%からはやや伸びが低下するものの,2.6%とフランスとしては比較的高い伸びが続くとしている(第5-5表)。個人消費は,本年とほぼ同様の2.2%の伸びを見込んでいる。設備投資は,89年も6.5%増と高い伸びが続くとしており,内需の中心となる模様である。貿易面では,輸出が5.1%増となる一方,輸入も5.3%とほぼ同程度の伸びとなるとしている。この結果貿易収支は,88年の265億フランの赤字の後,89年も224億フランの赤字と目立った改善はみられないとしている。消費者物価上昇率は,88年2.6%,89年2.4%とほぼ同程度の伸びを予測している。
ECの見通し(10月発表)によれば,GDP成長率,個人消費,設備投資については,フランス政府見通しとほぼ同様である。貿易面では,世界需要が約6%増加することを前提に,輸出は7.1%増,輸入は6.0%増と高めの伸びを予測,物価も2.7%とやや高めを予測している。雇用情勢については,経済の拡大は続いているものの,改善はみられず,失業率は,88年10.7%の後,88年も10.8%となるとしている。
OECDの見通し(12月発表)では,89年GDPは3.0%と政府に比べやや高めを予測している。個人消費は,今年同様の伸びとし,総固定資本形成は,今年よりやや伸びを弱め,5%強となるとしている。貿易面では,輸出入とも89年7%弱の伸びとなるとしている。消費者物価上昇率は,今年と同様とし,失業率はやや上昇するとしている。