昭和63年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1987~88年の主要国経済

第2章 カナダ:景気の拡大続く

1. 概  観

86年後半に一時低迷したカナダ経済は,石油価格の底入れをきっかけに87年から88年にかけて再び上昇に転じた(第2-1(1)表)。87年の実質GDPは,住宅投資,機械設備を中心とした民間設備投資が好調であったため,前年比4.0%増となった。88年に入ると,個人消費の伸びが緩やかとなり,需要の一巡から住宅投資もほぽ横這いとなったものの,設備投資が依然順調なことから,1~9月期の実質GDPは前年同期比4.6%増となった。また実質GDPを産業別にみると(第2-1(2)表),87年は卸,小売業(前年比7.5%増),建設業(同5.7%増)を中心に全体的に好調な伸びとなった。88年に入ってからは,干ばつ等の影響で農業が減少し,住宅需要の一巡から建設業にやや鈍化がみられるものの,その他の産業では引き続き増加傾向にある。雇用情勢は改善を続けているが,地域間格差はさほど縮小しておらず,失業率も88年初来ほぽ横ばいで推移している。対外面をみると,アメリカ向け等の輸出が堅調に推移する一方,輸入も国内の旺盛な設備投資意欲を反映した設備材輸入等の増加のため,貿易黒字は1~10月期前年同期比14.6%減となった。経常収支は1~3月期に投資収益の大幅増等貿易外収支の改善から,一時的に赤字幅が縮小したものの,その後やや拡大している。また,87/88年度の政府財政赤字は前年の306.1億加ドルから280.8億加ドルへと縮小し,目標額の293億加ドルを下回ったものの,依然高水準にある。


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