昭和63年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1987~88年の主要国経済

第1章 アメリカ:6年を超える長期拡大

1. 概  観

アメリカ経済は82年11月を底に回復に転じた後,88年12月現在で61年2月から69年12月までの長期拡大に次ぐ6年を超える「平和時としては最長」(大統領経済報告)の拡大を続けている。実質GNPは87年に前年比3.4%増の後,88年1~3月期前期比年率3.-4%増,4~6月期同3.0%増と2四半期続けて3%台の成長となり,7~9月期には同2.5%増となった。このように88年のアメリカ経済は87年10月の株価大幅下落の影響が懸念されたものの,その後の適切な政策対応等もあり引き続き拡大を続けている(第1-1表,第1-1図)

87年は個人消費の伸びが鈍化し,住宅投資が低迷する一方,民間設備投資が回復に転じるとともに,純輸出もドル安の効果等によりGNP成長率への寄与度がプラスに転じた。88年に入ると個人消費の緩やかな拡大と,住宅投資の低迷が家計部門の活動を特徴づける中で,民間設備投資は機械設備を中心に堅調となっている。さらに,純輸出の寄与度もプラス幅が拡大するなど,民間設備投資,純輸出主導の成長がより明確になっており,国内の生産,雇用の増加傾向が続いている。また,経常収支の赤字は87年に過去最高の1,540億ドルとなったものの,87年10~12月期以降は依然として大幅ながら縮小の傾向をみせている。また,長期にわたる景気拡大が続く中で,国内需給の逼迫,干ばつの影響等から一部に物価上昇率の高まりもみられる。金融政策はインフレ警戒に重点を移しつつあり,88年8月にば公定歩合が6.0%から6.5%へ引き上げられた。


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