昭和51年

年次世界経済報告

持続的成長をめざす世界経済

昭和51年12月7日

経済企画庁


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第2部 70年代前半の構造変化とその影響

第1章 70年代前半の経済変動の背景

戦後の世界経済は,クリ-ピング・インフレ,南北問題などを伴いながらも,1960年代後半までは,大きな不況を回避し,ほぼ完全雇用状態をつづけ,成長率も高いなど,全体としてはかなり順調な発展をつづけることに成功していた。

しかし,1970年代前半に入ると,①固定レート制からフロート制への移行と,それに伴う大幅な各国為替レートの調整,②主要国景気の同時的拡大に伴う基礎資材の需給逼迫と一次産品価格の大幅な高騰,③石油価格の高騰とそれに続いて生じた世界の国際収支構造の変貌,④二桁インフレ,⑤最後に,戦後最大の不況と1930年代以来の大量失業の発生など,息つく間もなく大きな変動につぎつぎと見舞われた。この結果,1970~75年における先進工業国の経済成長率は年平均2.8%にとどまり,60年代の4.8%を大きく下回った。

ここでは,これら70年代前半の激動をもたらした要因を検討し,とくに,その中で一時的と思われる要因と今後もつづくと予想されるものとを区分けし,将来の世界経済動向に与える影響を検討するとともに,主要国の経済がこれらの変動にどのように対応してきたかを分析して,今後の政策運営の参考に供することとしたい。


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