昭和48年
年次世界経済報告
新たな試練に直面する世界経済(資源制約下の物価上昇)
昭和48年12月21日
経済企画庁
第4章 フロート下の経済運営
72年9月に発足したIMF20ヵ国委員会は,国際通貨制度改革に関するIMF理事会報告を土台に,数回にわたり蔵相及び蔵相代理ベースで検討をかさね,73年9月IMF・世銀総会に通貨制度改革第1次概要を提出した。
本概要は一連の改革討議により到達した段階での大筋の合意点と,さらに検討を要する問題点とをまとめたものである。現在,新たな国際通貨制度は次のような性格を有することで,一般的な合意が成立している。
① よりよく機能する為替レート・メカニズムをも含めた効果的かつシンメトリカルな国際収支調整過程。ことでいう為替レート・メカニズムは,安定的な,しかし調整可能な平価を基礎としており,また特別な場合には,フロートも有効な手段を提供するものとして認められているものである。
② 撹乱的資本移動に対処するための協調。
③ 総ての国の義務をシンメトリカルにし,国際収支不均衡決済のため,妥当な程度および形態の交換性を導入すること。
④ 国際流動性総量をよりよく国際的に管理すること。その際SDRを主要準備資産とし,金および準備通貨の役割は縮小される。
⑤ 調整過程,交換性および国際流動性総量に関する諸取決め相互間に斉合性のあること。
⑥ 発展途上国への実物資源の流入促進。
数度の会議により以上の原則が合意され,改革討議はかなりの進展をみせた。たとえば金を国際通貨制度の中でどう取り扱うかは従来各国間での深刻な対立点であり,また自由金価格の高騰が国際通貨情勢の不安定要因であったが,金の準備資産としての役割を縮小していくことで合意された。しかしこうした大筋上の合意は成ったが,その具体策については未だ各国間の主張の対立が残っている。
この対立を早急に解決するため20ケ国委員会内に国際収支調整,資産決済及び複数通貨介入,流動性総量及び過剰ドルのコンソリデーション,実物資産の先進国から発展途上国への移転の4つの問題について,専門家の作業グループを作り,合意成立にむけて検討を始めた。
IMF総会ではIMF事務当局,各国とも74年7月末を通貨改革の合意目標に設定し,新たな進展をとげようとしている。