昭和44年
年次世界経済報告
国際交流の高度化と1970年代の課題
昭和44年12月2日
経済企画庁
第2部 世界経済の発展と国際交流の増大
第3章 知識・人材の移動増加
以上のべてきた商品,資本の国際的移動と並んで,60年代に入って,技術知識,人材などの国際的交流が盛んになってきたことは重要である。なぜならは,これらの交流の増大は世界的規模における情報化社会への移行を反映するものとみられるからである。
現代の工業化社会はコンピューターの普及とその利用技術の進歩,これに係わる周辺科学の発展を起動力とする情報革命により,次第に情報化社会へと変革されつつあるといわれるが,こうした状況を反映して,各国間の情報・知識の交流も次第に増大してきている。このことは,第52表に示したような電話,テレックスなどの需要の増大,あるいはアポロ中継にみられたような通信衛星の利用状況によっても明らかであり,また現在国際通信の自動化が着々と進んでいることからもうかがえよう。
このように現代の社会は世界的規模における情報・知識の交流の増大によって,相互に発展して行く性格を次第に強めているが,それでは,60年代に入ってからの実情は一体どうなっているだろうか。