昭和41年
年次世界経済報告 参考資料
昭和41年12月16日
経済企画庁
第4章 フランス
1965~1966年のフランス経済は比較的安定的な景気上昇を遂げた。65年春から始まった景気回復は66年にはいって本格化し,春にはインフレが懸念されたものの,物価の大福な騰貴は生ぜず,経済成長率(国内総生産,前年比)は第5次経済社会発展計画の目標5%を達成した。この間,消費者物価の上昇は2.7%,生産者価格の上昇は2.3%にとどまった。
このような比較的安定的な成長をもたらした原因は,民間企業設備投資が65年と比べいちじるしく増加したとはいえ,そのテンポがゆるやかであったこと,および,消費もさほど伸びなかったこと,また,一方において,労働市場の緩和から賃金上昇傾向も強まらず,かつ,引き続き物価安定堅持の政策がとられたことなどである。
生産の上昇による国内需要の増加にともなって輸出は鈍化を示したが,なお高い水準を維持した。だが輸入の拡大はいちじるしく,貿易収支の黒字は減少し,65~66年夏まで急速に増加した金・外貨準備は66年秋には僅かながら減少するにいたった。
しかし,一部に主として国際競争力の点からいぜん不振を脱しない産業をのこしたこと,景気上昇に逆行する雇用状況の悪化などの問題があり,いま一息の景気浮揚力と経済構造の改善をさらに急ぐ必要が残された。経済の体質改善については,66年から開始された前述の第5次計画にもとづき,すでに着手されていた政策の促進や新たに各種の政策の展開がみられた。この一環として66年2月に発表された経済社会政策は,短期的な景気刺激策も含んで景気上昇のてこ入れとして大きな役割を果した。