昭和41年

年次世界経済報告 参考資料

昭和41年12月16日

経済企画庁


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第1章 アメリカ

5. 見通し

以上見てきたとうり,今回の景気拡大に大きく寄与した個人消費支出は,66年にはいりその伸びが鈍化しているし,また67年の設備投資は法人利潤の伸び悩みなども反映し大幅な鈍化を予想させ,商務省・証券取引委員会の投資予測では上期で前年同期比8%増の見込みである(65年では16.5%増)。

住宅建築も不振の予想など67年の経済の動きには注意すべき点があり微妙な勧きを示している。一方,ベトナム戦は不確定要因として残っているが,景気を刺激するであろう。物価と金利騰貴も66年9月以降ほぼやみ高水準横ばいに移っているが,賃上げ圧力は67年に一段と強まり物価の続騰は避けられない。

またミシガン大学の調査では消費者が景気見通しの悪化などで耐久財の買い控えを予想されるなど67年の景気はむずかしい局面にある。商務省の66年10月調査でも,消費者が今後1年間に乗用車・家具・住宅などを購入する割合はいずれも前年同期を下回っている。

一方,アメリカの弱点であった国際収支は,再三のドル防衛措置にもかかわらず赤字を続けているため,さらに規制強化する可能性もある。

問題となっている増税は,もし行なわれるとすればベトナム戦の景気刺激効果を減少させる意味で行なわれるだろう。現在では物価金利の面などで景気の鎮静化現象が現われているなど,増税圧力がやや減少した面もあるが,66年上期の軍事発注に対する支払いが67年前半に行なわれるなど政府支出は景気刺激的となる面も残されている。

67年のアメリカ経済は民間エコノミストの予想によると引き続き拡大を示し,名目成長率6%,実質成長率を3~3.5%と見ている(66年ではそれぞれ8.5%と5%の推定)が財務長官によると実質成長率の政府目標は4%である。

一方,国際収支面では,国内の過熱景気やベトナム支出の拡大(66年第2,第3・四半期では国際収支赤字を前年同期比約9億ドルほど拡大するもよう)が原因で,66年では15億ドル弱(65年では13億ドル赤字)の赤字見込みであり,民間投資自主規制も67年いっぱい統きそうである。


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