昭和40年

年次世界経済報告

昭和40年12月7日

経済企画庁


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第3章 国際収支と国際流動性の問題

3. 今後の課題

1964年にIMF8条国に移行したばかりの日本は間もなく国際収支難を経験したが,国内の引締め措置と輸出の増大によってこれを切り抜け,国際的に非難されるような措置はとられなかった。またイギリスの国際収支危機に際しては,ポンド防衛のための国際金融協力に参加するなど国際金融面における地位を向上させており,65年にはIMFの出資割当額の増加について特別な増額を認められた。

今後の問題としては,国際流動性や国際通貨制度の改革といった重要課題に直面し,ばあいによっては新準備資産創出の問題について態度決定を迫られることもあろう。そのとき,現行の国際通貨制度は,歴史的に幾多の試錬を経て発展してきたものであり,これまで世界経済の安定的成長に貢献したことを高く評価すべきである。したがって,新準備資産の創出を必要とするようなばあいにも,それが現行制度の発展,進化と相容れるかどうか,および国際通貨制度のいっそうの安定に貢献するかどうかが十分検討されねばならない。この意味から,金と過度に結びつく新準備資産の創出は,金選好を強め金投機を助長するなど,国際通貨制度に重大な影響を及ぼし,世界経済を縮小均衡へ導くおそれもあるので好ましくない。

また,これまで国際信用供与機能の中核となってきたIMFが,その取扱いに任ずる機関として,もっとも適当であろう。


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