第2章 世界貿易の発展

5. 世界貿易の見通し

1965年上期に,世界貿易の伸びはいくぶん鈍化したが,なお高い増加率であったといえる。しかし,65年下期から66年にかけては,増勢はいっそう弱まりそうである。先進工業国のあいだでは,アメリカの輸入はこれまでほど急速に伸びないであろうし,西ヨーロッパも,イタリア,フランスが景気の好転で増加するにしても,イギリス,西ドイツは増勢を鈍化させると思われる。さらに重視すべきことは,一次産品国の貿易収支が悪化しており,引締め措置をとった国も多い点である。先進工業国からの輸入が今後増勢を弱めることはほぼ確実であろう。

このように,64年後半から65年上期にかけて,大きく輸入を伸ばした地域が伸び悩みをみせるとすれば,日本の輸出をさらに増加させるためには,いっそうの努力が必要となろう。