昭和33年

年次世界経済報告

世界経済の現勢

経済企画庁


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第七章 東欧経済の動向

一九五七年東欧経済は政治的にも経済的にも種々の困難な条件の下で開始されたのであるが,ハンガリー,ポーランド,その他の国では貨幣所得の増加がみとめられ,それは消費財市場を圧迫するにいたつた。ブルガリア,ハンガリー,ルーマニアでは一九五六年の不作が重要問題となり,またポーランドでは石炭輸出が突然減少したために,チェッコスロバキアと東独においてはその年のはじめに燃料が不足するにいたつた。また若干の国においては輸入原料その他財貨の必要をみたすに必要な輸出が非常に困難となつた。

一九五七年の計画はこれらの諸困難を反映していたのである。生産計画は一般にひかえ目に設定せられ,国家投資の計画はチエッロスロバキア,東独を除く他では,前年の水準と同じか又は低下した。しかし一九五七年の実際の発展は予想以上に良好であつた。ただし多くの東欧諸国においては,その成功は一部は外国信用(主としてソ連から)により融資をうけて原料を大量に調達したことにもとづく。またソ連は穀物の輸入を必要とする国に輸出することができた。全体の消費はほとんど全ての国で引上げられたが,ハンガリー,ポーランドでは貨幣所得の増加には及ばなかつた。投資は‐とくに建築においては‐計画よりも高められた。さらに計画経済の原理に関するいくたの協議が各国で闘わされた。また雇傭問題が若干の東欧諸国で問題となつた。


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