昭和55年

年次経済報告

先進国日本の試練と課題

昭和55年8月15日

経済企画庁


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第II部 経済発展への新しい課題

第4章 民間活力の活用

前2章で述べたような国際環境の下で,対内的・対外的課題を自主的・積極的に解決・達成していくことは,わが国の今後の経済発展にとって,重要な前提条件である。しかし,経済発展は,基本的には民間経済部門の活力が十分発揮されてこそ,真に実現可能となる。高度成長時代が終わり,内外の経済社会的条件が変貌しつつあるとはいえ,技術,投資,人材,貯蓄が,新しい状況に即応して生かされることが重要である。

かかる観点からみると,既に技術の面では,新しい発展の芽が生じてきているものと見受けられる。それは,高度成長期の大型工場,大規模設備のように目に見えるはなやかさはないが,電子工業,通信工業,機械工業を主軸に展開されつつある。また,サービス産業や農業でも,しだいに,技術,人材の一層の活用,あるいはそれを可能とする慣習,制度の変化が起こっている。

本章では,これらについて検討してみよう。


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